あと今日は

朝のカブトの感想書きと同様、こちらも久方振り (っつーか、こっちに至っては約1ヶ月ぶり?/汗) になるんですが、ここ暫くの間、仕事やら私事やらが忙しくて書評を書くのはサボっていたものの、その間にも、結構オススメ出来そうな本は何冊も読んだりしていたので、今日はその中から、単なる読書感想・報告で済ますには惜しい本の紹介でもしてみようかなー、と思ったり。
っつーコトで、以下久し振りの書評になるんですが、本日はコチラ、先日この作品に触れてやっぱりこの人の作品は凄いというコトを再認識させられた作家・森絵都先生の作品で、先月上下2巻組の文庫版が発売された 「DIVE!!」 を取り上げてみようと思いまっす。
DIVE!! 上 (角川文庫)
DIVE!! 下 (角川文庫)

時速60km・1.4秒間の快楽を求め、今こそ飛べ!

坂井知季は、同じダイビングクラブの先輩選手である富士谷要一の演技に憧れを抱きつつも、友人らと共に、自分が所属するダイビングクラブが取り潰されるという噂を陰で囁き合いながら、ただ平凡に飛び込みの練習を繰り返す日々を過ごしていた。
だがそんな彼の生活は、ダイビングクラブ存続を懸けてこのクラブからオリンピック選手を輩出すると宣言するコーチ・麻木夏陽子と、彼女が津軽から連れて来たという野生的な魅力に溢れた飛込みをする少年・沖津飛沫の登場によって一変する。
彼女の指導の下、本当にオリンピック出場を目指し厳しい練習に打ち込む選手達。複雑に絡み合う大人達の思惑、そして、親友にしてライバルという複雑な関係を乗り越えた時、知季・要一・飛沫の3人は果たして一体どんなダイブを魅せてくれるのか―――。

……というのが、大雑把な話の粗筋なんですが。
いやー……っつーかぶっちゃけた話、こんな私の下手な紹介文では十分に魅力をお伝えしきれない、それどころか、ヘタなコトを書くとむしろ作品の持つ面白味を損なってしまうのではと思えるくらい、実に素晴らしい作品でしてねー(汗)。


にオリンピックを目指すのに相応しい才能を持ちつつも、その自らの未知の能力を十分に発揮していない少年・坂井知季。サラブレッドの両親の血を引継ぎ、そしてそれだけでなく自らの意思でただただ “飛ぶ” という行為への情熱を燃え滾らせる少年・富士谷要一。優れた才能を持ちつつも無冠のまま故郷へと帰らざるを得なかったという祖父を最初のコーチに持ち、そんな祖父の意思を引き摺るかのように豪快なダイブを魅せる少年・沖津飛沫。
そんな3人の少年が、同じプールを使った競技でも競泳に比べて極端に注目度が低く、また、野球やサッカーのようなチームプレーの楽しさも無い、ある意味では非常にストイックな競技である飛び込みに青春を懸ける……。
いやはや、何と言いましょうか、もうこの設定だけで、スポ根とか青春とかといったキーワードが好きな人間にとっては堪らないカンジですよ! しかも、野球やサッカーあるいはバスケといった、如何にも “青春” といった感じのメジャーな競技ではなく、敢えてココでマイナーな、しかしその競技の派手さは他の競技に引けを取らないであろう “飛び込み” をその題材に持ってくるというのが、また何とも嬉しい変化球ってカンジで!(^^;
そして、こういった青春モノの作品が好きな人間にとっては更に嬉しいことに、この主人公の3人の少年についての描写・ストーリーというが、ただ飛び込みをしているという話のみに終始してしまうのではなく、むしろ比率的には、「彼らの青春物語の合間に飛び込みの話が出て来ている」 といった感じさえ覚えるほどに、彼らのプールの外での青春物語ってのが充実した内容になってまして。
あまり詳しく書くとネタバレに繋がりかねないので、詳しい内容を書くのは自粛させて頂きますが、上巻の第一部と第二部では、それぞれ知季と飛沫が、そして下巻の前半部分に当たる第三部では要一がメインとなる話が収録されているんですが、どの話も如何にも青春といったカンジの仕上がりになっていて、実に良いカンジなんですよ、ハイ。
そして、これら第一部〜第三部の締め括りである、下巻の後半の第四部では、それぞれの経験及び練習を越えて来たこの3人が正面切っての勝負を挑むこととなるのですが、この試合の描写というのが、ただこの3人の少年を順繰りに取り上げているのではなく、むしろ、彼らを取り囲む人々の視点で描かれるパートなんかも多くあって、これがまた実に面白い & それだけでなく感動で涙さえ浮かんで来るほどに素晴らしい内容になってまして!


正直な話、まだまだ説明し足りないというか、ネタバレとかを恐れないのであれば、もっと色々とオススメしたい部分なんぞもあったりするんですが……まぁ、過ぎたるは及ばざるが如しとも言いますし、ぶっちゃけこれ以上延々と私のヘタなオススメ文を読むのも苦痛かと思われる(苦笑)ので、一先ずこの辺で区切りとさせて頂きますが。
ともあれ、とにかくこの 「DIVE!!」 という作品、非常にオススメな作品であることは間違いないので、少しでもご興味ご関心を持たれた方は、文庫で上下巻とそれほど分量も多過ぎる感じはない & お値段的にもそれほど高くは無いと思われますので、これからプールが恋しくなるであろうこの季節、老若男女を問わず是非一度読んでみることをオススメしますよー。


→ 合計:022冊(小説15冊 / 漫画5冊 / その他2冊)