更にこれまた昨日と同様に

んでもって今日の日中は、(夕方近くになってから晴れたりはしたものの) 昨日と同様に天気が悪かったってコトで、外出もしなければ予定のタスクを消化することも無く(汗)、またもダラダラと読みかけになっていた本とかを読んだりしていたワケなんですが。
とりあえず、その今日読んだ本の中の一冊に、一応は発売直後に買ったものの軽く流し読みしただけで終わっていた、伊坂幸太郎氏の 『陽気なギャングの日常と襲撃』 が含まれていたんですが、最近読んだ作品の中ではかなりオススメの作品というコトで、ちょっと取り上げてみたり。


陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)

陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)



えーと、とりあえず大雑把な作品紹介としましては。
この本は、作者の伊坂氏のちょっと前の作品で最近文庫化もされた 『陽気なギャングが地球を回す』 の続編となる作品で、単行本の前半分丸々を占める第一章では、その前作に登場した4人の銀行強盗達が日常で出遭ったちょっと奇妙な事件というのが、それぞれ1人1エピソードずつ、主人公が変わる連作短編のような形で収録されており、そして後半の第二章以降では、第一章ではそれぞれがバラバラに事件に出遭ったりしていた4人が集まり、またもや強盗を計画すると共に、奇妙なアクシデントにも巻き込まれて行く……ってな形になっているんですが。
いやー……何と言うか、まぁこれはこの作品に限らず、伊坂氏の作品の多くに共通することではあるんですが、やっぱりこの人の作品における伏線の巧みさっていうのには度肝を抜かれますねー。前作でも、(あまり書くとネタバレになってしまいますが) 比較的最初の頃に出た情報・描写が後々ストーリーを進める上で大きなポイント・伏線になって来る等、この伏線に関しての手法の巧みさにはかなり驚かされたんですが、その辺の持ち味は今回もしっかりと受け継がれてまして。というか、第一章の短編と第二章以降の話がかなり密接に繋がって来るという辺りは、ある意味では前作を超える伏線張りの上手さと言えるのでは無いでしょうか。
また、既に前作で其々の性格作り・キャラ立ちってヤツがしっかりと為されていたのが良い方向に動いているのか、第一章で4人がバラバラに動き其々が主役を務めた時も、各々の性格が不自然に歪んだりストーリー進行優先の為に殺されたりすることなく、その性格のまま立ち回っていたのは、4人が揃っての長編とは少々色の異なる味付けではありましたが、これはこれで楽しく読めたというのは、結構高ポイントでしたねー。
ただその一方で、折角のそこそこの厚さのある新書版の作品であるにも関わらず、前半全部が、4人がバラバラに動く話で占められてしまっている為、4人がそれぞれの得意分野・能力を活かして銀行強盗を行うという展開のダイナミックさ・ピカレスク作品的な面白さに関しては、少々こじんまりとまとまり過ぎているというか、前作よりもやや爽快感に欠けるかなー……という気もしたりしました。それでもまぁ、十分面白い作品であることに違いは無いんですけどね(^^;


まぁそんなこんなで、総論としましては。以前に前作を読んだことがあり、そしてその作風が楽しめたという方は、買って損することはあまり無い作品だと言えるのでは無いでしょうか。逆に言えば、前作がイマイチだったと思う人は、(まぁそういう人が買うってコトはそうそう無いでしょうけど) 作風や登場人物の性格に変化は無いってコトで、買うのは慎重に見極めた方が良いかも知れませんねー。
また、前作を全然読んだことはないものの、映画も上映されているし、話題の一つとして読んでみようか……とお考えの場合は、とりあえずはこの本に手を付ける前に、以前に私が書いた書評とか(ちなみに、たった1年前の文章だっつーのにあまりにも今と文体が違っているのはある意味見所かも/苦笑)なんぞも参照にしつつ、まずは、最近文庫化もされた 『陽気なギャングが地球を回す』 の方を読まれることをオススメしますよー。コチラも名作なので、読んで損は無いハズですし(^^;


→ 合計:011冊(小説8冊 / 漫画3冊 / その他0冊)