これまた週末恒例で

相変わらず、朝は昨日までの疲れで寝坊し、そして日中は、これまた相変わらず、取り立てて特筆すべき程には変わったことも無かった(汗)、というコトで。これまた、時間はあるけどネタが無いという週末の恒例(?)として、本日の更新では書評でも書こうかと思いまっす。
で、本日取り上げる本なんですが。つい一昨日に買って、そして面白さのあまり一気に読んでしまう程に楽しめた・今誰かに本をオススメするならこれしかない! というコトで、本日は、伊坂幸太郎氏の作品で 「死神の精度」 を取り上げてみたいと思いまっす。死神の精度

生きることとは、無に戻り行くということなのか

えーと、とりあえず最初に、この作品の特徴というか設定等についてを軽く述べさせて頂きますと。
この作品・本は、“千葉” という名前を名乗る死神と、その彼によって、間もなく死ぬべきか、それとももう暫く様子を見るべきかの判断を下されることとなった6人の男女が織り成す、其々6つの短編が収録された短編集ってヤツでして。で、それぞれの作品の中で、この “千葉” と名乗る死神は、それぞれの対象となる人間の生死を決めて行くワケなんですが。


いやー……恐らく、この私の下手な紹介文(汗)だけでは、この作品の面白さというのはほとんど伝わらないかとは思うんですが、それでも、「とにかくこの面白さを誰かに伝えたい!」 と思わせるぐらいに面白い作品なんですよ、この本ってば(^^;
そして、この作品における褒めるべきポイントというか、魅力を感じる点・面白いと感じる点についても、それこそ書ききれないくらいにありまして。
例えば、これは本に挟まれていた出版社による折込チラシの受け売りですが、各章のテーマや登場人物によって文章の雰囲気が微妙に違うという、伊坂氏の文章を書き分ける腕前の巧みさというものが真っ先には挙げられるんですが、その他にも、“千葉” という死神の独特な言動のユニークさや、あるいは、そんな彼の言動について、最初はかなり世間ズレが激しく思えたのが、後の方のエピソードになって行くと、それが微妙に人間臭くなってくる様子など、この辺の変化なんかも、個人的には非常に面白いなぁ、と思えた次第でして。


それでも、敢えてそのいくつもある魅力の中で特にオススメな点というのを強いて挙げるのであれば、やはりこの作品の一番の面白さってのは、やはりこの “千葉” という死神の存在そのものにあるのかも知れないですねー。
「名前が何処かの地名と同じ」・「人間に素手で触りたがらない」・「“仕事” 中はいつも雨が降る」 など、性格面以外での各種の設定も面白いんですが、それ以上に面白いのが、「音楽が異常に好き」 や 「微妙に常識ズレしている」 といった性格面での設定の方でして。
こんな設定が付いているからなのか、とにかくまぁこの “千葉” が絡むと、たとえ彼の本来の仕事・死神としての仕事との関わりの有無に関係なく、どーにも物事がズレるというか、奇妙な感じになるんですよ。ミステリ風のエピソードでも、恋愛を巡るエピソードでも、とにかく彼が絡むと、その微妙にズレた言動で周囲の人間が落ち着かない感じにさせられる、みたいな感じで。
ちと辛口というか皮肉気な言い方・言い回しをするのであれば、本来はどのエピソードも、それなりに読める作品・エピソードではあっても、決して特別奇抜だったり独創的だったりするワケではないハズなのに、そこにこの死神が絡むだけで、一気に物語の味付けが変わる・引き締まる、ってな感じなんですよ。
また、主人公が死神ということで、あるいは各エピソードの結末にそれなりのカタルシスを期待されている方にとっては、これは多少ネタバレになってしまいますが、必ずしも、最後には何らかカタルシスが得られるという作品ばかりではなく、どちらかというと最後は投げっ放し的な印象で終わるエピソードなんかもあったりするんですが、それもまたある意味では、如何にもこの “千葉” らしいなぁ、とか思える次第で。


何故その対象の人物が死ななければならないのか。その人物の死を見届けるという仕事を任されているにも関わらず、そういった事情を一切知らないままに対象の人物の下へと送り込まれて来る彼ら死神達。そして、そんな彼らが、本来は何気ないだけの人間の日常に触れることで起こる、何とも奇妙なエピソードの数々。
伊坂氏の他の作品で彼の文章が気に入ったという方は勿論のこと、これが初めて読む作品だという方に対しても、かなりの勢いで太鼓判を押してオススメ出来るこの一冊。あるいは、長編小説ではなく連作での短編集だということで、もし機会があったのなら、買うか否かを決める前に、まず最初のエピソードを読んで、それを面白く感じたかどうかで判断する……なんてのもアリかも知れませんねー。
ちなみに、その最初のエピソードというのは、個人的にはこの6つの作品の中で1・2を争うぐらいに面白いんじゃないかなー、とか思ったエピソードだったりして。まぁ、こんなのは蛇足な話ですが(^^;


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