寒い日には熱い作品を

と、ゆーワケで。えーと、別にこれは、響鬼からの “炎繋がり・「熱い」繋がり” とかというワケでは無いんですが。
何やら先週辺りから、自分が住んでいる辺りでは、天気・気温が急激に冷え込んできたというか、スタンド能力キング・クリムゾン」 によって秋がすっ飛ばされて季節を一気に冬にまで進めたかのような天気(苦笑)が続いておりますが、どーせ体感的な寒さを止めることが出来ないのなら、せめて心だけでも熱くしよう、とか思いまして(^^;
まぁそんなこんな(?)で、「いやいや、いくら熱いストーリーの漫画を読んでも寒さは軽減できないから」 という冷静なツッコミはスルーしつつ、本日は書評として、先日発売されたばかりの、現在私がイチオシな作品 「うえきの法則+」(作者:福地翼先生) の第2巻を取り上げてみたいと思いまっす。うえきの法則プラス 2 (2) (少年サンデーコミックス)

我、力を欲するは己が欲の為ならず。唯々友を救うが為也

……と、微妙に (もしくはかなり) 作品の雰囲気にそぐわない小見出しなんぞを付けてみましたが。でもまぁ、意味というか意思というか、そーゆーものはこの第2巻の話の展開・流れにあってるよなー、と自分で言ってみたり(汗)。


えーと、まぁそういうワケで。とりあえず、この作品そのものの設定等については、私が過去に書いた第1巻についての書評・感想等を参考にして頂くとしまして。
そしてこの巻でのストーリー展開としては、いよいよ植木が 「(手から)モップを出す」 だけの “半職能力” の段階から、「“モップ” に “掴” を加える」 という特殊な能力・効果を得て、完全な “職能力” に目覚めるエピソードから、“選考会” 本番のウール争奪戦が始まるところまでが収録されているワケなんですが。
いやー……まぁ、選考会予選の様子とか、ハイジとソラが和解するエピソードとか、他の話もそれなりに面白いのがこの巻では揃っているとは思うんですが、その中でも特に、ハイジを救おうとする思いによって植木が “職能力” に目覚めるという一連の流れがとにかく熱いんですよ、えぇ(力説)!


特に、妹のミリーの為に、高利貸しの借金取りという筋の通らない仕事をさせられているハイジ対し、仕事の上司から植木を殺せという命令が出された時、攻撃を甘んじて受ける覚悟をした植木が言った、「大切な奴と会えなくなるってことがどんだけ辛いことか分かってんだろが!」 というセリフ……。
いやはや、これなんてのは正に、人間界に大切な友人達を置いてきた植木だからこそ言える・重みのある発言が出来るセリフでっ! いやー、何と言うか、もうこの一言だけで、人一倍友人思いであり、そして友人の為に自分が傷付くことを恐れないという植木の性格が如実に表されてるってカンジですよ。
またそれに加えて、まぁまだ物語が始まってから10話程度しか過ぎていない時点での話ということで、人間界との絡みという伏線が活かしやすかったというのもあるのかも知れませんが、それを差し引いても、この一言で植木が繁華界にまでやって来た目的を再確認出来ると言うのも、なかなかに効果的ですねー。


そして、このセリフと同じくらいに熱いシーンだと思われるのが、この後の、今度は植木を助ける為に、ハイジが自らの死を選び、そしてそんな彼を、もしくはここにいない大事な友達たちを救いたいという思いで、植木が “職能力” に目覚めるシーンでして!
まぁ、上記の 「大切な相手と会えない辛さ」 を説くシーンに比べると、やや一般的・普遍的というか、少年漫画モノでは少々在り来たりってな感も若干拭えない感じもありますが、それを考慮しても、これまで自分の勝手な正義感でウールとハイジという友人たちに迷惑を掛けて来たという後悔、そして、戦う力ではなく人を助ける力が欲しいという力への願いなんてのは、逆に普遍的だからこそ強く胸を打つというか、心を熱くさせてくれるワケで!
いやー……これはこの 「うえきの法則+」 の第1巻の書評の時にも書いたことではあるんですが、この2つのエピソードに代表されるような、福地先生が描くようないわゆる昔ながらの少年漫画的な話ってヤツは、どーにも自分的にツボでしてねー(笑)。とにかく、今回も実に熱く面白く読ませて頂きましたよ、えぇ(^^;


えーと、一応この第2巻の単行本全体のストーリー展開としては、前述の通りこの後も、選考会予選の話とかが、単行本の後半約半分に亘ってあったりするんですが……まぁその辺については、それなりに面白くはあるものの、この2つのエピソードに比べると熱い面白さに欠けるということで、この書評では省略の方向で行かせて頂きたいと思います(苦笑)。
とゆーコトで、いわゆる 「うえきの法則(前作の無印も含む)」 らしいエピソード・面白さという意味では、その手の話は単行本の約半分しか載っていないものの、逆に言えば、その半分だけでも、これを読めばこの作品の面白さってヤツが一発で理解できるのでは無いかと思われるこの一冊。
既に第1巻をお買い上げの方は勿論のこと、現在は休止しているサンデーでの掲載が結構面白かったとお思いの方や、現在アニメが放送されたりしている前作の 「うえき」 で福地先生の作品に興味を持ったという方も、よろしければこれを期に、この 「うえきの法則+」 に手を出してみては如何でしょうか。
現在連載がストップしてるというのは、ファンとしては少々残念 & 新規ファン獲得においてもややネックではありますが、まだ第1巻と第2巻が出たばかりなので、まだまだこの作品に手を出すのには良い機会だと思いますよー。


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