あとついでに

昨日の夜 & 今日のアメフト観戦の行き帰り等で、先日から取り上げ続けている上遠野浩平氏の“ナイトウォッチシリーズ”の第3巻 (<三部作>とも言われてるので、多分最終巻?) を読み返したりしたのに加え、現在、特に理由は無いんだけど何となーく興が乗っている(笑)ということで。
本日はアニメの感想やら戯言的日常生活のみでなく、このシリーズの第3巻 「あなたは虚人と星に舞う」 の書評も書いてみたいと思いまっす。うーん、自分で言うのもなんだけど、何だか今日は色々と盛り沢山な更新やわー(^^;あなたは虚人と星に舞う (徳間デュアル文庫)

星を視て、空を視て、地を視て、そしてようやく得られるものとは何なのか

えー……まぁ書評っつーても、この同じメインテーマを扱っているであろうシリーズについての書評ってのも、流石に3本目ともなると、いい加減書くことが無くなってきたりもするんですが……まぁ、こうして書評なんぞを書いて人のオススメする以上は、何かは書きたい・書かねばならない、とは思うんですけどね(苦笑)。


で、とりあえず行稼ぎなんぞも兼ねて、この作品の粗筋や設定について少々説明しますと。
これまでの2作では、物語の舞台は宇宙空間と月面 (と夢の世界) となっていましたが、今回のこの第3作目では、人類が外宇宙に出ようとした際に帰港用として作られた宇宙港が舞台となっています。
しかし、この作品の時代の人間にとっては、その宇宙港というのは長い間放置されてきたということで、既に虚空牙に汚染されたものと認識されており、その宇宙港でただ一人の人類の生き残りにして、プロトタイプである試作型ナイトウォッチのパイロット・鷹梨杏子もまた、今の人類からは敵と認識され、人類同士での殺し合いを余儀なくされていた……っていうのが、まぁこの作品の概略だったりするワケですが。


そして、他に挙げられる特徴としましては……んー、まぁこれは私の読解力不足(汗)によるものなのかも知れないので、何とも断定はしにくいんですが、とりあえず自分の感想としては、1作目・2作目が比較的テーマが明快・前面に押し出す形でテーマが強調されていたのに対し、この作品では、そういったテーマを語ることよりかは、作品を面白くすること、あるいはこのシリーズを一先ずまとめることの方に力が入ってる気がするってのは結構大きな違いでしょうか。
勿論、“人の心”ってヤツを主軸にしたストーリー展開、及びそれをある角度から見る・切り込んで語っていくという構図に違いは無いんですけどね。ただそれよりかは、虚空牙についての説明や描写みたいなものにちょっと多めにページや行が割かれている気がしまして。
まぁこれはこれで、毎度毎度そこまでテーマを前面に強く押し出す必要は無いとか、これで一先ずシリーズ完結なんだから未公開の情報を少しでも多く出す方が重要だ、などと考えるのであれば、勿論問題無しだと思いますけどね (というか、テーマを語るという点においては、これまでの2作の方が異端・ちょっと珍しかったくらいかも)。




人類に比べ、遥かに強大な力を持っており、そしてある目的の為に、宇宙へと進出した人類の前に幾度と無く姿を現してきた存在、虚空牙。そして、彼らやあるいは人類同士での戦いを通じて描かれてきた“人の心”というテーマ。
そういったテーマについて語られた作品という意味では、必ずしも“締め”では無いかも知れないものの、どうせそんなテーマに唯一普遍の答えなんざ無いんだし……と考える(苦笑)のであれば、これまでやや説明不足だったり拡散気味だったように思える説明をまとめ上げているという点で、間違いなくこの作品はナイトウォッチシリーズの完結作と言えるでしょう。
シリーズ第2作目の 「わたしは虚無を月に聞く」 のように、特定の他の作品・シリーズと結び付いているといったことはありませんが、他のシリーズを読んだか否かに関わらず、これまでの2作品を既に読んだという方であればスムーズに読めるハズ & どーせだったらこのラストの3作目まで読んだ方が気持ちがイイじゃん?(笑)ってコトで、是非ともオススメしたておきたい一冊となっています。
これは1作目の 「ぼくらは虚空に夜を視る」 の書評の所でも書きましたが、確かに比較的マイナーなレーベルってことで、やや入手は難しいかも知れませんが、でも上遠野氏の作品好きな方やSFが好きな方には是非とも読んでみてほしいシリーズなのは確かなので、もし機会があったなら、作品のテーマやそれに対する自分なりの回答ってヤツなんかも考えたりしつつ、3作まとめて読んでみると結構面白いのではないでしょうか。


→ 合計:058冊(小説26冊 / 漫画23冊 / その他9冊)