夕方のことなんですが

投票も無事に終えたってことで、ぼんやりと積読の整理なんぞをしていたら、ふと 「そーいえば最近、すっかり書評を書いてなかったなぁ……」 ってコトに気付いてしまい、背中に嫌ーな汗をかいてみたり。
えーと、左のカテゴリーによれば、前回に書評を書いたのが……げ、既に丸一ヶ月も前ッスか(汗)。いやはや、仕事が忙しかったり遊び惚けてたりで、すっかりサボっちまいましたねー(--;




……と、ゆーワケで。
既に丸々一ヶ月のブランクを置いてしまい、何というか“今更”ってなカンジが拭えないのも事実ですが、逆に言えば、丁度一ヶ月の休息・秋(飽き)休みを置いたと考えればキリが良いだろうってコトで、本日より久方振りに書評を再開したいと思いまして。
そして、本日再開の書評第一弾はコチラ、この複数の作家が同じ作品を手掛けるって様が、ある意味この何でもアリなblogには丁度似つかわしいだろうということで、我孫子武丸氏・田中啓文氏・牧野修氏によるセッションノベル、「三人のゴーストハンター」 を取り上げてみたいと思いまっす。三人のゴーストハンター―国枝特殊警備ファイル (集英社文庫)

見えぬものを見て、祓えぬものを祓い給え

普通の警備会社では対処できないような怪奇現象や心霊現象。そういった事件に対処するのが、生臭坊主の洞蛙坊・美形霊媒師の比嘉・オカルト否定の科学者である山県といった面々を抱える、国枝特殊警備保障である。
これは、この3人が織り成す様々な怪奇現象の物語、そして、彼らが出会うこととなった幽霊屋敷にまつわる物語の記録である……。



えーと、まぁ大雑把な粗筋というか設定というかについては、前述の通りなんですが。
で、これだけで済んでしまったのでは、ごく普通のオカルト物となってしまうんですが、この作品が普通の作品と違うのは、前述の3人の登場人物にまつわる様々なエピソードを、それぞれ誰が主役かによって、3人の作家それぞれが分担を決めて執筆しているという点でして。
具体的に書くと、田中氏は洞蛙坊の物語を、牧野氏は比嘉の物語を、そして我孫子氏は山県の物語を書いているんですが、これがそれぞれの作者の特色が実に如実に表れておりまして。まぁ主人公が違う・それぞれの性格が違うってこともあるんでしょうけど、同じテーマで書いているにも関わらず、それぞれの方向性がここまで違うってのもある意味珍しいんじゃないかなぁ……とか思わせてくれる作品でした。


ただその一方で、以下多少ネタバレになってしまうんですが、セッション的な作品ということで途中まで 「果たして、どうやってこれだけそれぞれの方向性の違う物語をまとめるんだろう」 と思いながら読んでいただけに、最終章が 「それぞれの作者がそれぞれに最終章を準備したので、それぞれ読者が自分のの好みに合いそうなのを選んで読んでね」 という仕組みになっていたのには、少々残念な感じもあったりしまして。
や、まぁこの最終章の行き着くまでのそれぞれの作者による各物語の方向性があまりにも違いすぎる・向いているベクトルが違いすぎるってコトで、それを無理に1つにまとめたりこの最終章のみを合作にしたりするよりかは、それぞれの方向性ごとに最終章を用意した方が質の高いものを作れる……ってな考えも一理あるとは思うんですけどね。
ただそれでも、何と言うか、どーせ現実での“正解”なんてのは1つじゃない・見方や立場次第で変わっちまうものなんだから、せめて物語の中だけでも“正解”は1つにしておきたいなー、とか思う自分としては、この辺のオチの付け方にはやや不満も残ってしまいまして。


それでもまぁ、そういった若干の不満を除いた上でも、それぞれの3人の作者の作品の方向性ってのが一度に楽しめるってのは、これはこれでなかなか楽しいものがあるのも事実。3人の中に好みの作者がいるという方は勿論のこと、特に好みの作者はいないんだけど……という方も、読書の幅を広げる・新たな好みを発見するという意味で、一度チャレンジしてみても良いのではないでしょうか。
ちなみに自分としては、最終章以外は田中氏による洞蛙坊の話が、最終章に限っては我孫子氏による山県の物語が好みでしたねー。




あー……それにしても、久し振りに書評書いたけど、やっぱりブランクが出来てしまうと辛いッスね、こーゆー文章を書くのって……。ううん、これから本格的な復活に向けて、ちと頑張らないとなぁ(--;


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