本来ならば

ゆっくりと落ち着いて本が読める & 書評も書ける週末ということで、読み終えるまでは、つい先日購入した某作品賞を受賞したというハードカバー作品の感想を書くつもりでいたんですが……。実際に読み終えてみたら、書評を書くとか以前の問題として、どーにも性に合わない作品であることが判明しまして(--;
いや、まぁ賞を受賞するくらいだから、そんなに悪い作品では無いのだろうとは思うんですけどね。でも、作品テーマは悪くないとは思ったんだけど、それを表すオチの付け方が、どーも個人的には好きになれなかったなぁ……とか、色々と我が侭な不満が残ってしまいまして。


まぁそんなこんなで、今日の書評についてなんですが。
一応、オススメというか自分好みな作品をずらずらと挙げただけとは言え、昨日もラノベ関連の話をしたばかりで、今日もまたラノベの感想というのは、ちとテーマが偏りすぎかなー……とは思うんですが、まぁ何も書かないよりかはマシかというコトで(苦笑)。
と、ゆーワケで。本日の書評は、またまたオススメなラノベより選んで書かせて頂こうかと思います。ちなみに取り上げるのはコチラ、以前に 「デュラララ!!」 を取り上げた成田良悟の作品で、「バウワウ! Two Dog Night」(<越佐大橋>シリーズの第1巻) でっす。バウワウ!―Two Dog Night (電撃文庫)

黒い犬でも白い犬でも、主人に忠実なのは良い犬だ……とか

今や世界から見捨てられた存在である、佐渡と新潟の間に架けられた巨大な橋と、その橋の中央に造られた名も無き無法都市。そこに、姿や立場こそ違えど、ある一点においては正に鏡写しとも言える2人の男、狗木誠一と戊井隼人が現れたことにより、この無法都市は微妙な変化を見せ始める。
それぞれの思惑を胸に秘めつつ街を走り回る2匹のイヌ。果たして彼らは、この都市の物語に如何なる1ページを刻むことになるのか。

……というのが、まぁ大雑把な粗筋というか設定なんですが。いやー……ぶっちゃけた話、まずこの舞台設定からして自分は惹かれてしまう作品でしたよ。ってゆーか、現代〜近未来風味で、銃とかが黙認されてるような無法都市! それも、アメリカとかではなく日本で!! もう、この設定だけで腹八分目ってカンジですよ!(意味不明)
まぁ、そんなワケの分からない興奮はさておいても、これはラノベに限った話では無いんですが、TRPGサタスペのような、アジアンパンクな世界に最近ハマっている自分にとっては、この世界設定は実に好みというかツボでして(苦笑)。最初はまぁ、そんな程度の理由で買ってみたんですけどね。


でも、実際に読んでみたらこれが予想以上に面白くて(^^;
これは、以前に 「デュラララ!!」 の書評を書いた時にも触れた話ですが、成田氏の作品に共通する特徴の1つとして、登場するキャラの濃さ・ネジの外れっぷりというのがあると思うんですが、それはこの作品においても健在のようで。
「この構えの方が格好良いから」という理由で銃を横にして撃つ技術を会得したという犯罪者・戊井隼人。防弾装備をしているとは言え、銃を持った犯罪者に素手で立ち向かう自警団員・葛原。奇妙な服と口調が特徴的なラジオDJ・ケリー……などなど、とにかく個性的・魅力的なキャラクターが多く、読み進めて行くと、あっと言う間にそれらのキャラクターのファンになってしまうってなカンジですよ。
あと、これはややネタバレ気味になってしまうんですが、この作品のキーワードみたいなものとしては、“映画っぽさ”というのが挙げられますね。成田氏が意図的に書いたのか、要所要所に出て来るカメラワークを意識したような描写なんかもそうですし、後半の戦闘シーンに至ってはもう……。まぁ、これ以上は確実にネタバレの領域となってしまうので止めておきますが、とにかくキャラの魅力“だけ”で売っている作品では無いのは確かですよ、ええ。


ただ、キャラの魅力だけではないとは言いつつも、一方では、後半の戦闘シーンで語られるテーマや思想などについては、正直成田氏の作風やラノベという範疇においては少々難解すぎるというか、ちと背伸びをし過ぎでは、みたいな部分もあったりしますが……まぁその点に目を瞑って読んだとしても、キャラの魅力や独自の舞台設定で十分に読者を惹き付けるだけの力はあると思われるこの作品。
アジア (というか日本) が舞台なパンク作品という設定は、やや世界観が独自すぎて受け付けないという人もいるかも知れませんが、逆に言えば、あまり他の作品が取り上げないからこそ、独自の光る魅力がそこにあるのも事実でして。パンクとは言っても、ラノベであるということや成田氏の読みやすい文章によって敷居の高さはかなり低くなっているので、成田氏の他の作品のファンの方や、ちょっとでも興味を持ったという方は、一度手に取って読んでみることをオススメしますよー。


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