和月氏、頑張ったよなぁ

そんなこんなで、いつものコーナーです(笑)。ここの前口上も、さすがにネタが切れました(^^;
と、ゆーワケで、今日の武装錬金単行本レビューは6巻です。武装錬金 6 (ジャンプコミックス)

Say it not so, Watsuki(涙).

「(打ち切りだなんて)嘘だと言ってよ、和月先生」……などと、有名(らしい)台詞を基にしたサブタイトルを更にパクってみました(汗)。
この巻でのストーリーの流れとしては、ヴィクターとの顔合わせ的な戦いの後、読者へのご褒美(笑)である水着シーンを経て、打ち切りという形で最後を迎えた“再殺編”がいよいよスタートということになるんですが……。
やはりこの巻で一番の見所といえば、和月氏が頑張った & アンケートも好評だったという水着シーンも良いとは思うけど、それ以上に見逃せないのが、カズキvsブラボーの師弟対決だと言えるでしょう。
単行本のライナーノートによると、アンケートでの読者受けという点では随分と評価は低かったみたいだけど、自らの信念を貫くためには、弟子であり戦友でもあるカズキを殺すことさえ厭わないというブラボーと、同じく自らの信念の下、斗貴子に貰った命を捨てず、友人らの笑顔に再び会うためにブラボーとの戦いを決意するカズキ……っていう構図は、実に格好良いと思うんだけどねー。


また、果たして和月氏がそこまで考えていたのか否かは分からないけど、ここでのカズキとブラボーの対決というのは、この対決の結果、カズキは学校という閉じられた空間を出て、友人たちではなく斗貴子という一人の女性と行動を共にすることなるということを考えると、これはまさしくカズキにとって、頼れる師匠であるブラボーの下を離れ、自らの信念の下に自立するための試練・ステップであったと思えるんですよ。
そして未だ単行本にはなってないけど、カズキとブラボーの対決というのはこれで終わりではなく、この後カズキは再びブラボーとのバトルを迎えるが、その時のカズキは一人ではなく、斗貴子と剛太という心強い仲間を得ていた……というこの後の展開まで含めて考えれば、実はこの“再殺編”という話の流れそのものが、ブラボーを父親役に見立てた、一種のカズキの自立のストーリーであったと言えるんじゃないでしょうか。


……いや、勿論これはただの推測に過ぎないし、友人というよりは斗貴子を巡るライバルであるという剛太の立ち位置や、“再殺編”における本来のボス役であるヴィクターとの対決という重要な要素を無視した考えだけどね。
でも、心理学とかを学んだ経験のある人にとっては、何を今更という感じがあるかとは思うけど、いわゆる“家族の庇護を離れ友人らと行動を共にするようになり、後に異性と出会い自立する”っていうのは、やはり人間の成長段階というものを考える際に避けては通れない要素なワケで。
そして、クラスメイトたちやブラボーという存在と、彼らと生活を共にしていた寮(家)や学校を一種の“家庭”と考えるならば、やはりここでのブラボーとカズキのそれぞれのポジションというのは、師弟対決 ≒ 親殺しの儀式を経て、個人の自立へと向かう関係を意味しているといえるのではないでしょうか。


……などと、妙に小難しい見解を延々述べてみましたが。まぁ結局のところは、「ブラボー、台詞もシルバースキンA・Tを着ての戦闘シーンの描写も格好良い! カズキも、戦力的にも精神的にも成長してる!」で終わる話なんだけどねー(笑)。父親殺しの成長なんてのは、少年漫画においては普遍の構図だしー。
それでも、前代未聞な色物キャラであるパピヨンや腹黒な早坂桜花など、目の前にいるこれらのキャラに惑わされてしまうと一見分かりにくい知れないけど、少年の成長過程という少年漫画には不可欠な要素をキッチリ話に盛り込めるあたり、こういったテーマを古臭いと捉えたり見向きもしないような作品が多い昨今の漫画業界において、以前の少年ジャンプに代表されるような、従来の少年漫画に対する和月氏の愛情はやはり確かなものなんだろうと思えますよ。
それだけに、今回のジャンプ誌上での打ち切りはつくづく残念だし、そんな雑誌に和月氏が縛られているというのが無念で堪らないんだよねー……。


それと、上に書いた話とは全然関係無いんですが。
和月氏は、そういうことを考える人の頭の方がエロスいんだと言ってたけど、どう考えてもこの巻で一番エロスいのは、女子陣の水着シーンではなく、ヴィクター化の暴走を止める際、カズキが半裸のまま後ろから斗貴子に抱き締められるシーン & そこでの台詞だと思います(^^;
ってゆーか、あれはどう見てもエロスさを狙ってるようにしか見えないってば!(笑)あと、一番最後の話での一心同体の部分も、どう見てもラブラブにしか見えませんよ?
そしてそれだけに、戦う前に敗北が確定してしまった剛太が哀れ也(:_;)