黒く、熱く、甘い……それが勝利の味であったら良かったのに

さてさて、さして面白くも無い仕事の話はこの辺でさておき。本日のこの漫画の感想で取り上げるのは、昨日の宣言通り、「武装錬金」の2巻でっす。武装錬金 2 (ジャンプコミックス)
……夏の赤マルを除くと、もうこのパピヨンのハジケっぷりも見れないんだよなぁ(:_;)

やっぱり気合いの入ったアクションシーンは見応えあるよなー

ごく簡単なストーリーの流れとしては、昨日に取り上げた1巻に続き、この2巻までが「パピヨン編」ということになるんですが。
これは昨日の日記でも触れたことだけど、やはり和月氏は前作(「GUN BLAZE WEST」)が早々に打ち切られるという苦い経験があったからか、最近のジャンプでよく見られる、“10〜15週程度で一定の人気に届かず打ち切り”というパターンを警戒するかのように、1巻の第1話から2巻の終わりまでにかけては、ややコンパクトすぎる観もあるものの、実に良くまとまったストーリー構成になってます。
またキャラの描写について触れるのであれば、覚醒したパピヨンの、あくまでも表向きは超人としての優越感で常にハイテンションでありつつも、一方で、自分は既に家族からも見捨てられていたのだという哀しみの表現の描写は見事なものだし、鷲尾のパピヨンへの微妙にホモっぽい忠誠心も、“少年”では無い読者も多い昨今のジャンプ読者事情において、より多くの層のファンを取り込むという意味で実にナイスです(笑)。


描写といえば、和月氏本人は単行本のライナーノートにおいて、2巻の前半〜中盤にかけての鷲尾との戦闘シーンが大味になってしまい、本誌アンケートも不調だったと言ってたけど……。
こーして単行本でまとめて読む限りでは、確かにカズキの攻撃が突撃ばかりというのは単調に見えるけど、話の流れや展開そのものは悪くないと思うんだけどねー。大ゴマが多いってのも、カズキの突撃槍の力強さや鷲尾の羽を使った戦闘方法、並びに“強い敵・乗り越えるべき強大な敵”といった感を演出する上では、まぁ避けては通れない部分かと……。
それでも、それを一見さんやコアではない読者に飽きさせないように見せるというのが、プロとしての覚悟や腕前なんだろうけど。いやはや、そう考えると、絵とか文章で生活を成り立たせている方々ってのはホント脱帽モノです。
……まぁ、予想外に話が増えたのは止むを得ないにしても、このサブタイトル(「中編1」と「中編2」)は正直どーかと思うけど(苦笑)。


また、終盤のパピヨン覚醒〜バトル決着までの、ギャグとシリアスとアクションが三位一体的で絶妙に入り混じった展開というのは、たとえ作者が同じ和月氏であっても、恐らく他の作品では決して再現できない、唯一無二の展開だと思えるんだよねー。
とにかく、この作品の魅力、並びにパピヨンというキャラクターの魅力を語る上で外すことの出来ない部分なので、作品を未読の方には是非一度読んでみてほしい部分っすよ。
まぁ贅沢を言えば、この2巻の中盤のバトルが不評だったのを反省してか、はたまたパピヨン覚醒で和月氏の中でも何かが覚醒したのか(笑)、和月氏の絵がより良い感じになっていくのもこのパピヨン覚醒以降のように思えるので、1&2巻が楽しく読めた方には、是非とも3巻以降も読んでみて頂きたいのだけど(^^;


しかし……。
こーして、雑誌掲載何週分もの話を集めた単行本を読んだり、毎週の〆切がイッパイイッパイだったという話を聞いたりしてしまうと、やはり和月氏は、無理に週間ジャンプに残るのではなく、隔週刊や月刊の雑誌に移った方が良いように見えるんだよねー。
週刊誌の限られたページの中で一話一話の話をまとめるというのも、より多くの読者に作品を知ってもらったり、自身の腕を磨くという意味では勿論良いことだとは思うけど、迫力あるシーンを描くためにどうしても時間が掛かってしまうというのであれば、無理して週刊誌の連載で毎週毎週〆切に追われるよりも、隔週刊や月刊で、一話一話により多くのページを使い、その増えたページの中で、迫力あるシーンと気楽に笑えるシーンとのメリハリをキッチリ付けるようにするというのも、和月氏の作品をより魅力的に見せるという意味においては、なかなか効果的な手法なんじゃないだろうか。
まぁ、こんなのは所詮は素人の浅はかな考えかも知れないけど、次に連載を始める際には、マジにその辺りのことは考慮して頂きたいものです、ハイ。