とは言ってもやっぱり平日じゃないので

流石に、いつものように適当にニュースとかネタを紹介してお茶を濁して終わり……というのも少々寂しい気がするので、代わりに休日の更新恒例(?)の、最近読んだ本のご紹介でもしようかと。
っつーコトで本日はコチラ、とりあえず作者がこの人だというだけで作品を買ってしまう程、相変わらず私がハマっている上遠野浩平氏の最新作にして、“ソウルドロップ”シリーズ (もしくは “ペイパーカット” シリーズ) の第3作目、「メイズプリズンの迷宮回帰」 でっす。

自らが何に迷っているのかさえ分からぬまま歩き続けて

えー……っつーコトで、前述の繰り返しになりますが、この作品は、上遠野氏が描く、現代伝奇風味入り推理小説作品 “ソウルドロップ” シリーズの第3作目なんですが。とりあえず、このシリーズの基本設定というか世界観的なものについては、以前に自分が書いたこの辺とかこの辺の書評などを参照して頂くとしまして、以下読後の感想ですが。
いやはや、相変わらず上遠野氏の作品は質が高いなー……と、とりあえずはそれが私の読後の最初の感想でしたねー、ハイ。
ストーリーの展開そのものについては、この作品・シリーズの前作である 「メモリアノイズの流転現象」 同様、知らず知らずの内に “ペイパーカット” の事件に巻き込まれた者が、その裏にある別の事件・隠された真相を探って行くことになるという点では、目新しさというか展開の奇抜さみたいなものはあまり感じられなかったんですが、逆に言えば、そーいう複数の事件が絡み合う、非常に複雑に思える話を、しっかりと最後には全体のオチが付く形でまとめているということ自体が、この人の書く作品が “上手な作品”・“面白い作品” であることの証拠になっているのかなー……とか思う次第でして。
……ただ今回は、そのオチというか、この作品で展開されているエピソードにおける一番の重要人物である “彼” の正体が○○ (かなり核心的なネタバレになる為、伏字にさせて頂きますね/汗) であるというのには、ちょいと意表を突かれた、あるいはもうちょっと露骨な言い方をするならば、「“ブギーポップ” シリーズのオチじゃないんだから、そのオチ・正体はちょっとどーなのよ」 という部分もあったりしましたかねー(--;
もっともこの作品・シリーズの場合、“推理小説” とは言っても、それはあくまでも 「作中にミステリのトリックのような状況が出て来る」 というだけであって、必ずしも読者がその謎を解かなければならない・そうでないと楽しめないというワケでは無いので、こーいうオチもアリっちゃあアリかとは思いますけどね。そもそもこれまでの前2作だって、謎解きのシーンまでの作中で全てのヒントが出揃っていたかどうかはかなり怪しかったりしましたし(苦笑)。
ただそれでもやっぱり、出来得ることならば、このシリーズでこーいうネタをオチに持って来るのは止めて欲しいよなー……と、少なくとも自分にとってはそう思えるオチだったというのは、ちょいと不満でしたかねー……。


しかし不満とは言っても、まぁ確かにオチにはややアンフェアなところはあったものの、それでも作品全体の感想としては、楽しめたことに違いは無いというのも事実でして。
まぁとりあえず、これまでにこのシリーズの前2作を既に読んでいて、伊佐俊一や千条雅人、あるいは東澱奈緒瀬やペイパーカットといったいつもの面々の活躍ぶり、もしくは翻弄されっぷり(苦笑)が楽しめている方であれば、今回のこの作品も買って損は無い・楽しめるのでは……と、個人的には思いましたねー。
……しかしそれにしても。一応、作品の舞台設定が “現代日本” と “剣と魔法のファンタジー世界” という差こそあるものの、こーいう上遠野氏のミステリ作品を読んでいると、勿論この作品・シリーズだって読みたいのに間違いはないんですが、でもそれよりも、いつになったら、ここ暫く展開が止まっている講談社ノベルスで展開中の “○○事件” シリーズの続刊を出してくれるのか、その辺が気になっちゃうんですけどねー(苦笑)。
あぁ、ホントにあのシリーズも、流石にそろそろ次の巻を出してくれないかしらー……。


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