そーいえば昨日の更新では

触れられなかったものの、実は昨日は、土曜の休日出勤の帰りに寄った本屋で買った雑誌、「週間少年ジャンプ the REVOLUTION」 なんぞもダラダラと読んだりしてまして。
で、今日はその中の収録作品から、確実にオススメであるにも関わらず昨日の更新で感想を書き漏らしていたというコトで、ちょいと前のジャンプ増刊号にも同じ世界設定での読み切りが載っていた和月伸宏氏の読み切り作品、「エンバーミング (より正確には今回の読み切りは「エンバーミング2」ですが)」 の感想をちょいと書いてみようかと思ったり。




……っつーコトで、以下感想なんですが。
んー……まぁあるいはこれは、「蘇生されて人格が変わってしまった人造人間と錬金術師のコンビの話」 という基本設定・コンビの存在自体が、既に前回の読み切りで出てしまっている為、作品のインパクトが薄まってしまったからかも知れませんが、個人的には、今回の話よりは前回の読み切りの話 (「武装錬金」最終巻に収録されている、ジョン・ドゥとリトル・ロゼが主役のバージョン) の方が好きでしたかねー……。や、勿論今回の話だって十分に面白いとは思うんですが。
しかしあれですねー。前回は、とりあえず何よりも 「人格が変貌した人造人間と錬金術師のコンビの話」 という基本設定そのもののインパクトが強過ぎた、もしくは、その味付けが何処まで読者に通じるか作者である和月氏自身が様子を窺いながらの作品にでもなっていた為か、ジョン・ドゥの特殊能力も凄いレアというか斜め上を行くような代物では無かったし、パートナーのリトル・ロゼについても、色々と意味あり気・裏がありそうなカンジは匂わせつつも、基本的にはキャラのインパクトは薄味なカンジに仕上がっていたように思えたんですが、今回はその辺、前回とは違って女の子が人造人間という点もなかなかに意表を付かれるカンジになっていた上に、アシュヒトもエルムもキャラがしっかりと立っていて、前作よりも色々と練り込まれた作品になっているカンジはありましたねー。


なお、いくら既に発売されている雑誌とはいえ、個人的にはこーいう作品の感想においてはあまり露骨なネタバレは好きじゃないというコトで、以下の感想ではその辺はやや曖昧な表現にさせて頂きますが、前回のジョン・ドゥ達のコンビとは違って、人造人間の “生前” を知る人間がそのパートナーというのは、(特に今回のコンビの場合は、エルムが人造人間になった理由とも相俟って) 何とも悲劇的というか、死んでまでその相手を引き連れようとする辺り、パートナーである人間の業の深さ・罪深さが出ていてイイ感じッスねー。
本来人間の生命というのは1つ限りのものであり、事実死者を人造人間にして生き返らせてみたところで、例えその蘇生 (もしくは人造人間としての再生産) が上手くいったとしても、その魂は別物・人格は別のものになってしまう。しかし、その “変わってしまった” 相手と共にでも、何かを成し遂げたいという強い思いがある……。
そんな風に考えると、何気にこの作品ってば増刊号ならではの独特なダークな基本設定 & 派手なアクションにばかり目が行きがちではあるものの、今回のコンビのような、生前からの付き合いのあるコンビが何かの目的の為に活動をするというのは、実に興味深い設定のように思えましたねー。……もっとも、この手の類の設定ではどうやってもジャンプ本誌連載は無理だと思いますが(汗)。


あと今回は、この世界の技術力と言うのが、ただ単に人造人間の作成のみに特化されているのではなく、独特の兵器 (と言って良いんですかねぇ、アシュヒトのアレは?) とかを作る方面でもなかなかに優れているというのが分かったのは、個人的には興味を惹かれるポイントだったり。
というのは、あまりやり過ぎると、また 「武装錬金」 の初期の頃のように、「今や超有名になった月刊連載の某錬金術師漫画(苦笑)と被ってる」 とか言われそうなのはちと怖いですが、人造人間の特殊能力以外にも、戦闘で使えそうで尚且つ人間が扱える科学技術ってのがこの世界には存在しているってコトは、あるいはこの世界には、「人造人間を敵視し、その科学技術を以ってそれらを破壊して回っている人間」 なんていうのもいたりするのかなー、とかぼんやりと思ったりもしてまして。
例えば、ちょいと陳腐ではありますが、以前に暴走した人造人間によって家族や恋人を殺されたことで人造人間という存在を憎む復讐者ですとか、もしくは、以前は自らも人造人間の創造を行っていたが人間の生命を弄ぶということに罪深さを覚えた元作り手といったように、そっちはそっちでドラマを背負った人間と、今回のアシュヒト達のコンビのような目的のある人造人間コンビとの戦い・ぶつかり合いなんていうのは、なかなかに人間ドラマ的にも面白そうかなー、とか個人的には思ってて。


まぁ何にせよ、前作でこの世界の基本設定がある程度は語られていた為か、今回は色々と細かい点でピリリと来るような味付けに仕上がっているように思えたこの作品ですが。
主人公達のキャラ・性格の部分で、個人的には前作の方が好みではありましたが、この 「エンバーミング」 という作品の世界観を知る上では、かなり欠かせない一本となっているであろうだけに、前作が面白かったと思える人、もしくは、「武装錬金」 以降の和月氏の作品に興味がある人は、是非とも読むだけの価値はあると思いましたよー。
……まぁ、1つの作品の為だけに雑誌1冊を買うというのは少々どうかと思える部分もあったりはしますが、でも今の和月氏の状態を考えると、果たしてこの先、この作品が何かの単行本に収録されるなんていう機会がいつあるかは分からないですし(苦笑)、そーいう意味でも、ファンならば絶対今の内に買っておいて損は無いと思いますよ、ハイ(^^;