とは言っても折角の休みなので

ただウダウダとニュースやらネタやらを紹介するだけなのも何なので、ここ最近読んだ本で面白かったりした作品の紹介でも……と思ったんですが。どーもここ最近、“これは!” と言えるほどの作品に出会って無いんですよねー(汗)。一応、いくつかはオススメな本のストックはあるものの、どーにも今日はそれらの書評を書く気にはなれないし(--;
……まぁそんなこんなで。とりあえず本日は、まぁ諸々の事情により 「万人にオススメ出来る」 という作品では無いものの、しかしながら、どーにもこの作品の感想は誰かに伝えないと収まりが付かない(苦笑)と思えるという、ちと厄介な作品の紹介でもしてみようと思ったり。
っつーコトで本日は、つい先日・8月の末に出たばかりの米澤穂信氏の作品で、「ボトルネック」 を取り上げてみようかと思うんですが……えーとですね……本来ならば、こーいうのは “書評” としては失格なのかも知れないんですが……今回はどーしても、ネタバレアリアリでないと、書評と言うか感想が書けそうに無かったりするんですよ(汗)。
ボトルネック
その為、まだこの作品を未読で、他の人の感想やら書評やらを読んだ後でこの作品に手を付けるか否か考えている人には申し訳ないんですが、今回はここから先については、“続きを読む” で区切りを入れさせて頂いた上で、既にこの作品を読んだ人 or そもそも読む気が無い人だけ、読み進めて頂ければと思います。
お手数を掛けて恐縮ではありますが、これも無用のネタバレを防ぐためというコトで、何とぞ一つご了承下さいませ m(_ _)m









……さて、区切りを入れて無用のネタバレも一応は避けたというコトで、ここから先はネタバレアリアリのぶっちゃけた感想をさせて頂きますが。
いやー……何つーか、どーしようもなく救いの無い作品でしたねー、これは(汗)。だって、散々異世界を彷徨った挙句に導かれた答えが、「そこに居たのが自分では無かったら、周囲の人はもっと幸せになっていたはずである」 だなんていうのは、残酷の極みだと言えると思うんですよねー……。
っつーか、まぁ確かにこーいうコトを考えるのが一番多いのは思春期・青春時代かとは思うんですが、でも誰しも一度は考えたことがあると思うんですよねー。自らの過去を振り返った時に、「あの時違う選択・行動をしていたなら」 とか 「あの時あの場所に居るのが自分では無かったら、もしくは自分があの場所に居たのなら」 などという風に思いを巡らすっていうのは。
しかも、ただ漠然とそういう “if” の世界に思いを巡らすだけなら未だしも、その空想が現実のものとなった世界が目の前にあって、しかもそこでは、極論的には 「自分の代わりに、自分ではない誰かが生きていた方が世界は良くなったと実証されている」 としたら……。いやはや、これはもう紛れも無く、究極とも呼べる (しかも完全な事実でもある) 自己否定ですよ。
更にそれに加えて、これまで 「自分が一番理解している」 と思っていたハズの死んだ恋人が自分に対して持っていた思い (より正確には、彼女の死後も生き続けている自分に対して持っていた思い、っつーか怨念?) というのが、慕情や恋心、あるいは同情心や同族意識等ではなく、彼女が望んで手に入れられなかったそれなりに平凡でそれなりに幸せな、“生きる” ということへの嫉妬だとしたら……。
繰り返しになりますが、これはもう完全に、自らの “生” そのものの否定ですよ。しかもそれは、(この作品の主人公は未だ15歳でしたが) これまで生きてきた時間が長ければ長いほど、これまでの人生で取り返しの付かない間違った選択をしてきた数が多ければ多いほどキツく感じるという、実に恐ろしい形での自己否定……。いやー、久し振りに読んでいて心底恐怖を感じる作品でしたよ、ハイ(--;


……もっとも、この作品に込められたメッセージというのは、必ずしも自己否定だの自らの過去の否定だのだけではないとも思うんですけどね。
何というか、確かに人間は過去の自らの選択をやり直すことは出来ないし、これからも間違った選択をする危険性は決して低くないものの、それでも人間は、その場その場で出来得る限りの最良の選択をして生きていかなければならないし、そしてその選択肢を増やすためには、常に前向きに生きるというか、自らの生に積極的でなければならない……的な、そーいう応援的なメッセージも入ってるとは思うんですよ、えぇ。
でもやっぱり、この作品・この結末からそのメッセージを全部汲み取るっつーのは難しいというか、ある意味ではこの解釈っていうのは、私が自分に都合が良いように解釈した・曲解したメッセージに過ぎない可能性もあるワケでー。そう考えると、果たしてこの書評、並びにこの本を万人にオススメするというのにはかなりの迷いみたいなものもありまして……。まぁそんなワケで、今回のこの文章は100冊読書クラブとしてのカウントには含めない・敢えて “オススメ” とは言わないようにしたいとか思ってたりするんですけどね。
ただまぁ、どれだけ結末がネガティヴな雰囲気であろうと、米澤氏の描く独特のリアルさがある青春的小説が読みたいという人は手を出しても問題無いとは思いますが……まぁ究極的には、自己責任でお読み下さいとか、とりあえずそれがこの文章のオチというコトでー(^^;