昨日に引き続き、週末だから

書評のコーナーでも。……って、何だか自分の中で、「週末 = 書評の日、書評を書く日 = 週末」 って習慣が出来上がりつつあるなぁ(汗)。何だかパブロフの犬っぽくて、猫好きとしては非常に微妙なカンジです。や、だからってシュレディンガーの猫は残酷でイヤですけど……って、何の話だこれは(苦笑)。
まぁ、そんな自分でもワケの分からない妄言はさておきまして。何はともあれとりあえず書評ってコトで、本日取り上げる作品についてなんですが、先月散々取り上げてた気もするけど、それだけファンなんだから仕方ないじゃん……ってコトで(汗)、またまた クラフト・エヴィング商會 様の本より、「らくだこぶ書房21世紀古書目録」 を取り上げたいと思いまっす。らくだこぶ書房21世紀古書目録

未だ書かれぬ書物を、時代の砂と共にお届け致します

さてさて。まぁ、今回もまた毎度お馴染みの クラフト・エヴィング商會様の本ってことで、またしても何か仕掛けや虚言が潜んでいるのだろうと、既にお思いの方もいるかとは思いますが、まずは今回は、この本のタイトルを良くご覧下さい。
……確かに、今は21世紀ですよね。でも、その時代の古書目録が一冊の本になっているとは、一体どうしたことか……という気が、言われてみるとしてはきませんか? (というか、自分は言われるまでは気付かなかった/苦笑)
実はこの本は、2052年・21世紀の半ばという近未来より クラフト・エヴィング商會へと届けられたという背景・設定を持つ、いわば架空の“未来に発行される古書目録”でして。そんな設定なワケですから、勿論、この古書目録に載っていたとされる、未来の古本 (って、何だかSFじみた解説ッスね、コレ) もまた架空の本ばかりなんですが、ここで取り上げられている本というのが、これまたどれもこれも実に見るからに面白そうな本ばかりで。


一例を挙げるだけでも、ただ只管に“答え”だけが書かれているという書物 「A」 や、嫌煙家の白い目に悩む喫煙団体が喫煙が可能な場所について書いたとされる、タイトルからしてそのものズバリな 「SMOKING AREA」、はたまた、特殊なインクで印刷されたため字が消えてしまったという 「世界なんて、まだ終わらないというのに」 などなど。
どれもこれも、「下らない」・「遊びが過ぎる」 と言ってしまえば、確かにある意味それで終わりとも言える内容ばかり。しかし、そんな“誰もが一度は考えはするかも知れないものの、結局は手を出そうとはしない”内容の本を平然と出すのが、このクラフト・エヴィング商會様の魅力でもあるワケで(^^;


またこれらの本の紹介以外にも、如何にも本当に未来の古本屋からそれらを買っているんだ、と思わせるような記事・コラムが散りばめられているというのも、なかなか嬉しい仕掛けといえるでしょう。
まず、その本が如何にも未来から現代までの“時間の壁”を乗り越えて来たかの如く汚れたりしているのは勿論のこと、時には、その本の著者となっている人物 (団体) の下に赴いて 「この本の出版予定はあるか」 と訪ねたりする等、とにかくこういった細部にまで凝っていまして (ちなみに、団体訪問〜は勿論嘘ですよ/汗)。
単に架空の本を好きなように紹介するだけで終わるのではなく、 こういったオマケ的なところにまで遊びを忘れないというのは、やはりクラフト・エヴィング商會様ならではの嬉しい工夫と言えましたねー。


これも、この書評でクラフト・エヴィング商會様の作品を取り上げた折には毎度のことではあるんですが、これだけ遊びに溢れているにも関わらず、あるいは、それだけ遊びに溢れているからこそ、オススメではあるものの、では万人にオススメが出来るとかいうと、それはそれで正直微妙な(苦笑)この一冊。
読書という行為、あるいは書籍という存在そのものが好きであるならば、或いはこれが初めて読むクラフト・エヴィング商會様の作品であっても楽しめるかも知れませんが、逆に言えば、普段はあまり読書の習慣が無いという方にとっては、この本はあまり楽しくないって感じてしまうかも知れませんね。反面、クラフト・エヴィング商會様も読書も好きという方には、それこそ手放しでオススメしたい一冊なんですけどねー(笑)。
何はともあれ、読書という行為が好きで、尚且つある程度は洒落ってものが分かる方は、機会があったら是非一度読んでみることをオススメしますよ。未来からの古本がどうとかといった設定は抜きにしても、未だ書かれぬ未来の本っていうだけで、本好きとしては何か血が騒ぎませんか? ってコトで(^^;


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