何かここ最近は

週末に1本書評を書ければ上々という状態になりつつあるなぁ(汗)。いや、本自体は、小説に限らず漫画も含めれば、もっと結構な数を読んでるんですけどね。ただ、敢えて書評を書くほどでも無かったりとか、あるいは単純に書く時間を取れなかったりと、まぁ色々ありまして……。
もうちょっと短くまとめるようにする等、書評を書くのに費やす時間を削れるようにすれば、もっと数を書けるとは思うんだけど……なかなか自分の文章のスタイルを改めるってのは難しいものがありまして、とか(^^;
まぁそんな愚痴はさておいて、今日の書評ですが。今回は、前回に引き続き個人的にお気に入りなユニット、クラフト・エヴィング商會 様の、「じつは、わたくしこういうものです」 を取り上げてみようと思いまっす。じつは、わたくしこういうものです

ありそうで無さそうで、でもなりたい職業たち

さてさて。前回に引き続いて、今回もクラフト・エヴィング商會様の作品ということで、これまた前回同様のコメントではあるんですが、やっぱりこの本も、微妙に書評ってのが書きにくい本だったりします(苦笑)。とは言っても、まぁ前に取り上げた 「テーブルの上のファーブル」 に比べれば、まだしもこちらの方が紹介はし易いですけどね。


「月光密売人」 や、「秒針音楽師」 など、聞いたことも無い (というか実在しない) 不思議な職業の数々。そんな職業に就いている (フリをしている) 方々18人が、それぞれの職業や生き様について語った、写真入の職業紹介エッセイ集……というのが、この本に関する大雑把な説明ということになるんですが。
いやはや、相変わらずこの本も、実にらしいというか何と言うか。最初から最後まで、徹頭徹尾、実に遊び心に溢れた内容になってまして。
まず第一に、ここで紹介されている職業の“名前”からして面白い。前述の 「月光密売人」 などのように、微妙に怪しげで、そしてだからこそ興味を惹かれるような職業があるかと思えば、「シチュー当番」 なる、説明の文章を読まなければさっぱり仕事内容が分からないような職業まであったり。
そして、その職業についての説明文もまたユニークでして。勿論、遊びで創った架空の職業なのだから、漠然とした仕事内容みたいなものは書かれていても、では実際にはどのような仕事なのかという点については上手くはぐらかしている職業が大半なのですが、それでもその説明文が、これまたクラフト・エヴィング商會様定番の小道具を生かした写真と合わさると、その漠然としていたはずの説明が妙に説得力を持って来るのだから、これまた何とも不思議というか何と言うか。
ここに書かれている職業はいずれも、恐らくは、「そんな職業あったらイイな」 などと“考えたこともない”ような、現実においても空想においても未知の職業ばかり。けれども、その説明を読み写真を眺めているうちに、どこか微妙に懐かしいような、何ともノスタルジックな気分にさせられてしまうのも事実で。


ありもしない品々や世界では飽き足らず、今回はありもしない職業ということで、あるいはクラフト・エヴィング商會様の作品の中でも、他の作品に比べ、若干ハードルは高めかも知れないこの一冊。
「テーブルの上のファーブル」 同様、一冊目にこの作品にチャレンジするってのはやや困難かも知れませんが、「どこかにいってしまったものたち」 など、他の作品でこの世界観にハマったという方は、まずは立ち読みでパラパラと読んでみて、もし紹介されている18個の架空の職業の中に1つでも自分好みの職業があったのなら、いっそのこと購入してみる……なんていうのが、この本を選ぶときには良いのかも知れませんね。


あ、あとハードルが高めといえば。まぁ分からなければ分からないで問題は無いと思うんですが、実はこの本で取り上げられている職業や小物の中には、あからさまには書かれていないものの、微妙に他の作品の世界観・設定みたいなものとリンクしていると思しき表現があったりするようで。
もし、クラフト・エヴィング商會様の他の作品のいくつかを既に読了済みの方は、そんな点にも留意しつつ読むと、それはそれでなかなか面白い読み方が出来るんじゃないでしょうか。


→ 合計:041冊(小説19冊 / 漫画15冊 / その他7冊)