時間があったので

一昨日・昨日と本を読めなかった分、ダラダラと読書を堪能 & 面白かったので、ここで書かないとまた随分とブランクが空きそうなので(苦笑)、書評も書いておこうと思います。
ちなみに今回取り上げる本は、相変わらず個人的にお気に入りなユニット、クラフト・エヴィング商會 様の、「テーブルの上のファーブル」 でっす。テーブルの上のファーブル

昼酒・昼月・昼寝付きのテーブルは何処に在りや

えー……まぁ、これは相変わらずのことではあるんですが、自分で「書評を書こう」を決めておいてこの言い草はどうかとは思うんですが……ぶっちゃけた話、この本ってば実に書評とか感想とかが書きにくい本だったりします(苦笑)。
というのは、クラフト・エヴィング商會様の本ということで、既にこの本が単なる小説やらエッセイやらではないということは、クラフト・エヴィング商會様をご存知の方にとっては、既にお馴染みのことだとは思うんですが、ではこの本が、これまでこのblogで取り上げてきたような、空想の商品やら世界やらを扱った本かと言うと、それもまた微妙に違うような感じでして……。


何ていうか、一言で大雑把に言ってしまうのであれば、この本の特徴というのは、“ごちゃ混ぜ”とか“詰め合わせ”って感じなんですよ。ページ番号の表示も無ければ目次も無く、ただ数々の作品・内容だけがそこに詰まってるとでも言うんでしょうか。
これまで、「どこかへいってしまったものたち」 や 「クラウド・コレクター」 で取り上げられてきたような、微妙に現実感がありそうな架空の品々や、架空の人物、架空の場所、などなど。それらにまつわる小噺や広告などを、正にごちゃ混ぜにして詰め込んだらこうなった……って感じでして。
しかし、ごちゃ混ぜとは言っても、だからと言ってクラフト・エヴィング商會様独特の面白さが損なわれているかと言えば、無論そんなことは全然無く。
音楽に書物に広告、そして酒。こういった、クラフト・エヴィング商會様“らしさ”を強く感じられる品々を扱った記事 (“文章”とは言い難いので、敢えてこう表現しておきます) が、それぞれが小さい・短いネタばかりなだけに、数としては実に盛り沢山というカンジに込められているのは、何ともおもちゃ箱的で個人的には嬉しい感じで。
その中でも特に、煙草を一本吸ったら代わりに詩を一篇入れていくピース缶の話なんていうのは、話としては短いし、別にこれからの発展性が期待できるような話では無いものの、個人的には実に面白いと思えましたねー。自分はほとんど煙草を吸わない人間なんですが、こういう話を読むと、何だか無性に真似してみたくなるようなカンジがあったりして。
あと、ある意味煙草とワンセットということで、究極のインスタントコーヒーにまつわるいくつかの話も興味深かったですね。手軽で、決して本物ではない、しかし美味しい。そして、他にメニューなど無く、そんなコーヒーだけを出す喫茶店……。うーん、コーヒー好きにして珍しいもの好きとしては、是非ともそんな店に行ってみたい、更に言うならば、そんな店を自分で開いてみたいってなカンジですよ(笑)。


これは私の独断的意見ですが、恐らく、初めてクラフト・エヴィング商會様の作品に触れるという方には、全くと言って良いほどオススメは出来ない一冊。しかし、既にクラフト・エヴィング商會様の本を何冊か読んだことがあり、この独特の世界観や本の作りが好きだという方には、是非ともオススメしたい一冊。……というのが、この本に対する正直な感想ってところでしょうか。
この本に限ったことでは無いですが、現実の日々に少々疲れ気味な時、身体は旅行に出れなくとも、せめて意識だけでもちょっとした不思議な世界への小旅行へ旅立たせてみる……。そんな小旅行に興味がある方、クラフト・エヴィング商會様の本は是非ともオススメですよ。
あ、ちなみに。この本のタイトルにある 「ファーブル」 なる単語ですが、実はこれ、フランス語で“寓話”って意味だそうで。なので、別に本文に昆虫が出てきたりすることは無いので、虫嫌いの方も安心して読んで頂けますよー(^^;


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