読み終えたどーっ!

他のクラブ員様に掲示板から無用のトラバを飛ばしてしまったり(汗)、折角読み終えたのに酒の飲み過ぎで感想が書けなかったりと、色々と紆余曲折ございましたが。
今日は何とかまともなコメントを書く時間が作れたということで、ようやく、100冊読書クラブの『「夏の100冊を読書クラブの参加者でコンプリートしよう」企画』の1冊目の指定図書である、山本文緒先生の「恋愛中毒」の読了報告をさせて頂きます。いやー、読了することよりも、その報告までが長かった!(笑)恋愛中毒 (角川文庫)
で、一応以下は書評というか感想なんですが。うーん……。何と言うか、折角ご指定を頂いた本にこういうコメントを付けるのは、失礼なコトだとは思うんですが……。
正直な話、自分の好みには合いませんでした(--;


ネタバレにならない程度にストーリーについて語るならば、つまりはこの作品は、水無月圭子という一人の女性の波乱万丈に満ちた恋愛の軌跡を描いた小説……というコトになるのでしょう。
序盤〜中盤までの、比較的穏やかな (と言っても十分に刺激的な言動もあったりしますが) 恋愛模様が、物語が終わりに近付くに従って、一気に加速する・水無月圭子という女性の秘められたある一面が現れる様には、人を思うという情念の強さ・感情のパワーを見せ付けられるだけでなく、そこに一種のカタルシス的な快感をも覚えるこの作品。
一人の女性が、如何にして恋愛に溺れて行くか。決して、甘い甘い恋愛小説ではありませんが、そういったテーマや物語をじっくり味わいたいという方には、なかなかオススメなのではないでしょうか。


……と、ここまでが、この作品に対する当たり障りの無い私の感想でして。そして以下は、何故この作品が私の好みに合わなかったか、という話(というか愚痴)になります。
この作品や筆者のファンで、そんな私の戯言なんざ聞きたくないという方は、お手数ですが、以下の文章は聞き流す・読み流すか、ここで引き返して頂けますようお願いします m(_ _)m








……さてさて。無事にお断りの言葉も済んだということで(苦笑)、以下は本音丸出しの感想とさせて頂きますが。
まず最初に、この作品を読んで私が正直に感じた、すっげぇ嫌味な感想を言うと。「暇潰しにはなるけど、作品に意義やら意味やらを感じられなかった作品」 ってカンジでした。
いや、読んでいる最中はそれなりに面白く読めたんですがね。まぁ、これは私という人間の性格等によるものが大きいとは思うんですが…… 「ぶっちゃけた話、結局この作品は何が言いたかったの?」 などと読後に思ってしまったというのが、多分この作品を十分には楽しめなかった一番の理由だと思います。
ってゆーか、それを言ったら身も蓋もない、とか言われてしまうかも知れませんが。もしこの作品のテーマ・最も伝えたいことが、「人を愛することを止められない。守れない決まりなんか作らなければいい」 だと言うのなら、「……じゃあ、そうすれば?」 って答えてしまうのが、私の感想というか思考のスタイルなんですよ。
なので、自分の場合、「(筆者もしくは登場人物が)言いたいことを言ってスッキリした」 ってだけのエンディングや、「結末は自分で考えてね」 的なエンディングの作品っていうのは、どーにも全般的に苦手・好きになれなくて……。


それと、水無月という女性の恋愛の形・行動についてですが。……いや、確かにちょっと怖いというか狂気を孕んでいる部分はあるとは思いますけど、近頃では別に普通なんじゃないッスねぇ、これくらいは。ってゆーか、それをこの水無月のレベルにまで走るか走らないかという差はありますけど、恋愛でヤバいところまで走ってしまう人がいるっていうのは、男女どちらにも共通だと思いますし。
そもそも、そういう人についての話を、多少ではあるものの、現実で見たり聞いたりして知っている身としては、これくらいでは“ホラー”とは感じられませんでしたよ、ええ(苦笑)。
また、恋愛“中毒”って言っても、水無月の場合、「“恋愛してる自分”中毒」 なだけのように見えましたし、これまた程度の差はあれど、そーゆー人って、結構世の中にいるんじゃないかなぁ……とも思ってしまったり。
あ。それと、これは私が人生経験 & 恋愛経験に乏しすぎるだけなのかも知れませんが。……先生の奥さんみたいな女性って、ホントに現実にいるんですか?(汗) いや、他の登場人物たちについては、まだしも “もしかしたら……” って思えたんですが、あそこまでキレたキャラになると、どうにも嘘臭くて……。
他の登場人物たちがそれなりにリアルっぽい性格をしているだけに、あの人だけが、何だか物語を先に進めるために設定されたように見えてしまい、ちょっと違和感を感じてしまったというのも、作品に好印象を持てなかった理由の一つだったように思えました。
まぁ、そんなこんなの諸々の要素・事情が、私があまりこの作品を高く評価できない・好きになれない理由ってカンジでした。




……などと、ここまで結構辛口なコメントを書いて来ましたが。
まぁ、所詮上記の文章なんざは全て私の主観によるものですし、あの結末についても、私のように読了後に“何か”を求めてしまうのでなければ、あれはあれで納得の結末なのかも知れませんね。
そういう意味では、物語の終わり方にあまりこだわらず、かつ、「リアルでごく普通にありそうな、しかし実際にはなかなか見たり聞いたり出来ない恋愛の話」 みたいな作品を求めている方には、結構オススメ出来るのかも。
小説だから・フィクションだからと、現実離れした設定や人物を求めるのではなく、リアルな日常を描いた作品を読みたいという方は、一度読んでみてはいかがでしょうか。ただ、本当はある程度恋愛経験が豊富な人の方が、しっかりと味わって楽しく読めるのかも知れませんね。


あと、最後になってしまいましたが、この作品で個人的に一番面白いと感じた部分として、先生の女性の好みが 「可哀相な女」 という設定ってのがあったりしました。「人間の異性の好みなんざ、そうそう変わるものじゃないよなー」 とか、「あぁ、やっぱり人間ってのは、外見やら性格やら以上に、その人の雰囲気そのものに惚れるんだなー」 とか。
そういう意味では、確かに登場人物は男女を問わずリアルに描かれてると私も思いましたよ、ハイ(^^;


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