久方ぶりに書評でも

仕事とかが忙しくて、今週はすっかり書評をサボっていたんですが(汗)、どーにかこーにか今日は時間が作れたので、(昨日の更新でもちらりと触れた)今読んでいる本についてでは無いんですが、最近読んだ中でかなり面白かった本の一冊を、今日は取り上げてみたいと思います。
ちなみにその本というのはコチラ、ここ最近完全にマイブームと化している“クラフト・エヴィング商會”様の本で、「新版 クラウド・コレクター/雲をつかむような話」でっす。新版 クラウド・コレクター (ちくま文庫)

帽子を被り、ぶらりと異国の旅へ

うーん……いや、自分でこの本について書評を書くと決めておいて何ですが、実に書評が書きにくい作品ですね、コレ(苦笑)。 一応、本の区別としては、空想小説・ファンタジー小説になるのでしょうか。


現在の“クラフト・エヴィング商會”の店主(念のため説明しておくと、“クラフト・エヴィング商會”ってのはあくまでも作者の方のユニット名であり、この屋号の店は実在しません)が、先代の店主でもある祖父の遺品の中から旅行記を発見し、その旅行記を現代の文章に訳し読み解いたのがこの本である……というのが、大まかな設定なんですが。
本当はこういう言い方で本の紹介等を行うのはイヤなんですが、それでも敢えて言うのであれば、この本は読む人の感性にかなり左右される本のような気がします。架空の商店の、架空の先代が残した、架空の旅行記……そんなフィクションだらけの設定であるにも関わらず、その文章には妙な説得力があり、読んでいて白昼夢のような夢見心地に誘う本というのが、この本の説明としてはピッタリな気がします。
一応冒頭の説明では“ファンタジー小説”と書きましたが、確かにファンタジー的な要素は多いものの、それはいわゆる“中世ヨーロッパ的世界での、剣と魔法のファンタジー”ではなく、“現実によく似ているけれど、ちょっとだけ違う部分のあるという意味でのファンタジー”であることを考えると、読んだ後の感覚としては、小説を読んだというよりは、“(絵はあまり多くないけど)大人向けの絵本を読んだ”的な感覚に近いかも知れません。
繰り返しになってしまいますが、正直なところ、この本は読む人を選ぶ本かも知れません。ただ、だからと言って最初から“自分には合わないだろうな”と敬遠するのではなく、まずは一度、騙されたと思って、パラパラと冒頭の数ページを読んでみてください。そこで少しでも面白そうだなと興味を持てた方は、買って読んでみて損は無いと思いますので。


ちなみにこの本には、姉妹本として、「すぐそこの遠い場所」という本もあります。こちらも(出来る限り)近日中に書評で取り上げる予定ですが、もしこの本をじっくり味わおうと思うのであれば、こちらも併せて揃えておくと、より一層楽しめるのではないでしょうか。
また、今回の書評では、繰り返し“この本は人を選ぶ”と述べてきてしまいましたが、それは裏を返せば、“ハマる人はとことんハマる”という意味でもあります。というのも、私自身ここ半月ばかり、暇さえあればこの本をパラパラと眺めてしまう程に、この世界観にどっぷりと浸かってしまっておりまして(^^;
とにかく、少しでもピンと来るものがあった人にとっては、何回も繰り返し読んでも面白く感じられるであろう一冊ですので、まずは手にとって読んでみることをオススメします。ホント、良作ですよ。


→ 合計:022冊(小説14冊 / 漫画4冊 / その他4冊)