特に外出もせずに

今日は家でひきこもりをしてました(汗)。いや、一応、先週末からの風邪を治すためとか、積読の本の消化とか、他にも諸々の雑事があったりしたので、何もしてなかったワケじゃないんですけどね。あと、おやつに食べた わらびもち も涼しげで美味しかったし!
……でも、世間一般に対し、そこはかとなく虚無感というか敗北感を感じるのは何故だろう orz


……まぁ、そんな鬱な話はさておき!(汗) 忘れないうちにということで、今日読んだ本の書評なんぞを書いてみようと思います。
ちなみに取り上げる作品はコチラ、“クラフト・エヴィング商會”著の「どこかにいってしまったものたちどこかにいってしまったものたち」でっす。

探し物は永遠に見付からない物

明治〜戦後の時代に掛けて、商會として扱ったことはあるものの、既にその商品そのものは、売れるか戦争の混乱で紛失してしまった商品の数々。そんな品々の名残とも言うべき取扱説明書やチラシを集め、それに空想を交えた解説文を添えたこの本は、いわば“商品の不在目録”であり、尚且つ“商品の代わりに夢を売る商品目録”ともいうべき存在である……なんていうのが、この本の設定なんですが。
……はい、この本の著者の“クラフト・エヴィング商會”をご存知の方の中には、既にお気付きの方もいらっしゃいますね。実はこの本で扱われている品々というのは、以前にここの書評で取り上げた、同じく“クラフト・エヴィング商會”著の「ないもの、あります」同様、実際には最初から存在していない商品ばかりなんですよねー(苦笑)。
実際には在りもしない商品の形や性能を考え、そしてその(本当は存在しない)商品に相応しいパッケージや取扱説明書、あるいはチラシを実際に作り(!)、それを写真に撮って掲載させたのがこの本なのです……って、何だか説明を書いているだけで頭が痛くなってきましたが(汗)。
まぁつまりは、実際にはありはしない、けれど、あったらイイなと思える商品を並べたのが、この写真集(?)なワケです。


それにしても、ここに並べられている商品というのが、これがまたどれも実にユニークな商品ばかりなんですよねー。
桃の食べ頃を調べることが出来る“水桃蜜調査猿”や、光ではなく闇を作り出すという懐中電灯“アストロ灯”、果ては、容器の瓶自体は残っているのだが、最早永遠に開けることが出来なくなってしまっている“瞬間永遠接着剤”などという商品まで。
どれもこれも、如何にも明治や大正といった、ややいかがわしげな商品が本当に実在した時代背景・設定に即した商品であるだけでなく、読んだ者に、“もしもこれが現代にあったらなぁ……”という思いを抱かせるような商品ばかりで、実際には存在しないのが分かったいても、読んで行くうちに、ついついその商品の形やら使い道やらを思い浮かべたくなってくるから、何とも不思議というか愉快なものです(^^;


また、この本が凝っている点として、そこで描かれている商品の解説等が如何にもな感じに書かれているだけでなく、再現(っていうか創造?)した商品のチラシやパッケージを撮影して載せるにあたって、特殊な薬品を使うなどして、そのチラシ等が本当に古いものあるかのように見せかける細工まで加えている点が挙げられます。
やっぱりねー、解説文とかに凝るのもイイんですが、(嘘や冗談の商品ばかりとはいえ)折角時代のロマンを感じさせるような本なんですから、資料として載る写真にこういった細工が為されたりなんかしていると、それだけで雰囲気が盛り上がる・見ていてより一層楽しく思えてくるってものですよ(^^;


こういった本を使わずとも、普段から白昼夢を見がちな方(汗)にはオススメし難いものがあったりもしますが、日々の生活の忙しさに追われ、想像や空想をする楽しみを忘れてしまった、あるいはその方法を思い出せなくなってしまっている方に是非ともオススメしたいこの一冊。この独特の雰囲気、かなり良いカンジです。
また、やや値段は張りますが、丁寧でセンスの良いブックデザイン・外見をしているので、相手が洒落の分かる方ならば、プレゼントなんかにも向いてる一冊なんじゃないでしょうか。


→ 合計:013冊(小説9冊 / 漫画2冊 / その他2冊)