やっぱり面白いわー

昨夜はblogを書いた後、上遠野浩平氏特集ということで先週末に買ってあった、「ファウスト vol.5」を読んだりしてみたり。と言っても、かなり分厚い本なので、まだまだ拾い読んだ程度なんですが(苦笑)。
それでも、この号の一番の目当てである上遠野氏の新作、「アウトランドスの戀(こい)」と「ポルシェ式ヤークト・ティーガー」は真っ先に読み終えたので、とりあえずその書評でも書いてみようと思います。ファウスト vol.5 (講談社 Mook)

扱い困難なモノたち

えーと。とりあえず、この辺は実際に本の解説文を読めば分かることではあるんですが、この2作というのは、表裏一体というか対の作品となっており、「アウトランドスの戀」を読んでから「ポルシェ式ヤークト・ティーガー」を読むと、前者の裏に隠された様々な事情や思惑が見えてくるという感じになっているんですが。
いやー、流石は作中での視点の切り替えを多用する上遠野氏。その辺りの作品構成の妙は相変わらずで、他の作品同様、安心して読めるというか、非常に読みやすい感じで読むことが出来ました。あと、作中の世界観や設定がブギーポップシリーズの世界というのも、あのシリーズの読者である私にとっては、電撃文庫以外からの作品であの世界観の作品が読めるというのは、実に嬉しい不意討ちでもありました。
ただ、2作どちらとも安定した質の高さを持ってはいるものの、その反面、あまりにもいつもの定番の作風過ぎて、目新しさみたいなものは感じられなかったのも事実ですが……まぁ、それでも十分に面白いので、私としては全然OKでしたけど(^^;


それにしても、いつも新作を読むたびに思うんですが、上遠野氏のネーミングセンスってやっぱり自分好みやわー(笑)。っつーか、「ポルシェ式ヤークト・ティーガー」って、普通はそんな作品のタイトルなかなか思い付きませんって(^^;
そして、作中に出て来るキャラクターが、これまた実にこの言葉にピッタリで。ちなみに、この奇妙なタイトルというか単語については、一応これは戦車の名前だったりするんですが、その特徴とかについては作中でキッチリ解説が為されているので、私みたいに聞きかじり程度しかミリタリー系の知識が無い人とか、あるいはそういう知識が全く無い人でも、安心して読むことが出来ますよー。


表裏一体の作品ということで、ちょっとしたことでも迂闊に書くとネタバレに近付いてしまう危険性があるため、あまり詳しく解説やら感想やらを書くのが難しいんですが、とにかくブギーポップシリーズの読者なら、読んでみて損は無いのではないでしょうか。個人的には、あの世界観でありつつもブギーポップが出て来ないという、今回のような作品は非常に好みなもので(^^;
あとは、あんまりこういうことを書くと、あたかもこの雑誌の売り込みをしているようで嫌なんですが、今回のファウストには、上遠野氏×西尾維新氏×北山猛邦氏 なんていう顔ぶれでのトークなんかも載っているので、上遠野氏や西尾氏の作品も読むラノベ好きにとっては、かなり買いの一冊だと思いますよ。
……ところで、「アウトランドスの戀」の方に出て来る、“亜麻色の髪の研究者”なんですが。これって、「ソウルドロップの幽体研究」に出て来た彼っすよねー(^^; ほんのチョイ役だけど、こーゆークロスオーバーを平然とやってのけるから、今回のような短編も含めて、作品の読み逃しってのが出来ないのよねー、上遠野氏は(苦笑)。


→ 合計:011冊(小説8冊<作?> / 漫画2冊 / その他1冊)