3巻目ってホントに出るのかしら(汗)

朝の満員電車での香水攻撃にもめげず、頑張って会社に行って来ました。そして職場では、今日も今日とて少々トラブルを起こしつつ(汗)ではあったものの、無事に仕事を終えて帰宅。いえーい、これで明日と明後日の休みは確定したぜー!(我ながら、ちっちゃい幸せやなぁ/苦笑)
で、夕食後に少し酒を飲んだりしてて気分がイイ(笑)ので、今日はまた、先週あたりから“読み溜め”状態になっている本の書評を書いてみようと思います。ちなみに取り上げるのはこちら、以前に取り上げたエリック・ガルシア氏の「さらば、愛しき鉤爪」の続編で、「鉤爪プレイバック」でっす。鉤爪プレイバック (ヴィレッジブックス)

相棒については、聞くな、聞いてくれるな

さてさて。実はこの作品、「さらば、愛しき鉤爪」の続編とは書いたものの、作中での年代的には、その前作よりも約一年ほど前の話となっています。
……ということは、何が起こるのか? 前作をしっかり読んだ方なら分かるかと思いますが、そう、前作では(既に亡くなっていたため)名前しか出て来なかった、ルビオの相棒であるアーニーが登場するんですよ! そして、この彼がまたルビオとは違う渋さがあって格好イイんです。
格好イイとは言っても、ルビオよりも随分年上らしいだけあって、ファッションへの拘りとかは今一つなカンジですが、探偵としての言動の方については、やはり恐竜であっても“亀の甲より年の功”なのか、一年後の前作よりも未熟なルビオを上手にサポートしつつ、巧みに調査を進めたりする辺りは、年齢差のある相棒の典型例・好例で、ルビオにはないアーニー独自の格好良さが存分に発揮されていると言えるでしょう。
……まぁ、時折年甲斐もなくかんしゃくを起こしたりもしてるけど、その辺は一つご愛嬌ってコトで(笑)。


ところで、以前に本か何かで、“ハードボイルドってのはアメリカ版の浪花節のことだ”という話を読んだことがあるんですが、今回のストーリーは正にそのアメリカ版浪花節そのもの。
アーニーの別れた妻から、彼女の弟が<祖竜教会>なるカルトにハマっており、どうにかして彼を連れ戻して欲しいと頼まれるルビオとアーニー。ルビオは渋い顔をするが、元妻への未練なのか愛情なのか、アーニーはその依頼をあっさりと引き受けてしまう。しかし調査を進めるうちに、恐竜社会全体に衝撃を与えるような事実までもが浮き彫りになってきて……というのが、ストーリーの粗筋となっているんですが。
こーして改めて書き出して読んでみると、ホントに浪花節だなー(笑)。別れた元妻の頼みには滅法弱いだなんて、王道じゃないですか。そして、それを上手にハードボイルドの世界観で包みつつ、しかし文章そのものは、読者には余計な気構えを作らせないような軽いタッチに仕上げてしまう辺り、やはりエリック・ガルシア氏ってのは凄いなーと改めて実感しきりです。
なお、アーニー以外にも、オスなのに人間の女性の皮を被る恐竜のドラッグクイーンやら、阿呆で変態気味だけどどーにも憎みきれない事務所の大家(勿論、恐竜)やら、とにかく奇妙で濃い面々が(前作以上に)今回も盛り沢山。ハードボイルド的な作品だからと身構えるのではなく、“ノベライズされた海外版の宮藤官九郎監督作品を読む”くらいの気楽な気持ちで読むと丁度良いかも知れません。自分としては、ノリが結構似てると思うんで(^^;


全体としては、前作に引き続き、いわゆる古典的なハードボイルドの世界観を絶妙なバランスで茶化しつつ、締めるところはビシっと締めるという美味しさも兼ね備えた本作品。ハードボイルドものが好きな人は勿論、あまり作品自体は知らないけど、ああいう世界観や雰囲気が好きなんだという(私のような)ミーハーな読者も十分に楽しめると思います。
なお、確かに作品内での時系列ではこちらの2巻目の方が古いし、2作目ということでエリック・ガルシア氏の文章のキレも冴えているので、前作を未読の方の中には、ついついこちらから読んでしまおうかと思う人もいるかも知れませんが、個人的にはそれはオススメ出来ないですね。
それというのも、この作品のエピローグの中には、前作を読んだ後じゃないと十分には余韻を味わえないような文章も含まれているので、必ず順番を守って読むことをオススメします。そうすると、最後の一文なんか、典型的かも知れないけど、結構心に“ぐっ”と来るものがありますよー。


→ 合計:009冊(小説6冊 / 漫画2冊 / その他1冊)