結構間が空いてしまったけど

ここ最近は、仕事とか他の用事とかで、めっきり多忙だったもので(汗)。それでも、電車での移動中とかに読書自体はしていたので、久しぶりになってしまいましたが、ここ最近で読んだ・読み直した本の書評をまた再開させたいと思います。
ちなみに本日取り上げるのはこちら、浦賀和宏氏の「松浦純菜の静かな世界松浦純菜の静かな世界 (講談社ノベルス)」でっす。

静かで奇妙で、そして日常的な世界

ジャンルとしてはミステリに分類されるのかも知れないけど、全体の雰囲気としては、中学や高校での自身の学園生活を既に客観的に振り返ることのできる、年齢としては20代〜30代くらいの正に講談社ノベルス読者に一番多い層の方々(すみません、この辺り私見がバリバリ入ってます)向けの青春小説といったカンジでしょうか。


とある事件によって腕に大怪我をし、それに伴い、暗く大きな秘密を抱えることになった少女・松浦純菜と、家族を次々に失ったにも関わらず、自分だけは何故か無事に生還してしまう奇跡の少年・八木剛。それぞれの心にそれぞれの闇を抱えた2人が、次々と連続して起こる“遺体一部持ち去り殺害事件”を追うことによって見えてくる、この一連の奇妙な事件の真相とは……っていうのが、大雑把な粗筋なんですが。
うーん……ミステリのトリックや動機という意味では、整合性や説得力もあって実に分かりやすくまとまっていたものの、意外性で読者を楽しませるようなタイプのものではなかったような気がします。
それよりも本作品の見所となるのは、松浦純菜と八木剛がそれぞれの心に抱える闇についての描写や、若者独特の人間関係での葛藤の描写、そして純菜の友人・渚も含めた3人での、実に学生らしい、青春真っ只中な日常的な会話の描写等だと思います。
特に、私が男で、更には剛と同じくインドア系でやや自意識過剰(汗)気味な性格をしているからかも知れないけど、剛の人間関係への不満や自分の言動への自己嫌悪の描写なんかは、読んでいてふと自分と照らし合わせてしまう部分なんかもあったりして、結構リアルに感じるものがありました。……俗で平たい言い方をすると、“イタイ”ってカンジ?(^^;
そういった自分との照らし合わせがあったからか否かは分かりませんが、印象としては、読んでいてぐいぐいと先に引っ張られるように一気に読み進められる作品でした。浦賀氏の作品独特の暗さというか重さもあまり感じなかったし。


冒頭にも書いたけど、ミステリというよりは青春小説的な雰囲気を持った本作品。そーいう意味では、以前に紹介した「地球平面委員会」とも似てるのかも。
まぁ、最後に明かされる“秘密”に関しては、どちらにもそれなりのインパクトと、“それってアリかよ!”的なツッコミを入れたくなるような部分がありましたが(^^; 個人的には、“それって蛇足じゃない?”っていう印象は本作品の方が強かったかなー。まぁ、これ以上書くとネタバレになるので、詳しくは自分で作品を読んで判断してみて下さい。
個人的には「地球平面委員会」の方が好みだけど、本作品の方は何やら“もしかしたら続きがあるかも?”的な雰囲気を持っているので、そういう余韻や引きを楽しみたい方には、こちらの法がオススメかも知れませんねー。


……そーいえば、ここまで書いておいて何だけど、以前にどこかで、浦賀氏はネット書評ってヤツが嫌いだって言う話を聞いたことがあったなぁ(汗)。えーと……一応、もしどっかから正当な削除要請があった時には即座に対応しますので、とりあえずそれでご勘弁下さい、浦賀氏 & 関係者各位様 & ファンの方々(^^;


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