ちょいと変り種ですが

久しぶりに再読したらやっぱり面白かったので、主なカウント対象とすると宣言した小説や漫画じゃないんですが、書評を書いてみたいと思います。
ちなみに取り上げる本は、“クラフト・エヴィング商會”著の「ないもの、ありますないもの、あります」でっす。

お客さん、どちらまで?(口車を転がしながら)

実際に見たことはないけど、慣用句などで使われる、「舌鼓」や「転ばぬ先の杖」といった品々(?)。そんな品々を扱う店があったら、どんな目録が作られるのか。そんな冗談に冗談を重ねたような本が、この「ないもの、あります」です。
既にご存知の方にとっては、何を今更といった話になってしまうかも知れませんが、この本の筆者である“クラフト・エヴィング商會”様というのは、こういう粋な本を出すのが実に上手いんですよねー。個人的に、この方たちの感性って大好きです(^^;


本の中身については……まぁ前述の通り、慣用句に出て来る品々を集めたカタログというのが基本のスタイルなんですが、カタログといっても、その商品の値段なんかについては(そもそも実在しないのだから)一切触れておらず、挿絵も写真ではなく簡単なイラストのみとなっています。
じゃあ、そんな本の何が面白いのかと聞かれれば、答えは勿論、その商品についての説明文ということになります。ってゆーか、この説明文がまた実に面白いんだ、ホントに(^^;
ありもしない商品に対し、“これは下町職人が一つ一つ手作りしていて……”などと、如何にももっともらしい説明をしているかと思えば、そんな思わせぶりな説明をした癖に、結局は“無いものは無いよ”みたいなオチが付いてしまう商品もあったりと、どの説明文も実にユニーク。
読んだ人は誰もが大爆笑、といった本では無いですが、頭を柔らかくしてユーモアを楽しもうという心意気があれば、どの商品の説明を読んでも思わず笑みがこぼれる内容となっております。


あまりメジャーでは無いとは思いますが、一部で結構なファンもいるらしい(この辺、多少自分の願望を含有/汗)“クラフト・エヴィング商會”著の一冊。私の行く書店が品揃えの悪い店ばかりなのか(汗)なかなか書店で売っているのを見掛けませんが、もし本屋で見付けて立ち読みをした際に、少しでもピンと来るものがあったなら、はっきり言って買って損は無いかと思います。
ただ、小説なのかエッセイなのか、本としてのジャンルがハッキリしない上に、ありもしない商品を延々と説明しているということで、文章の好みの以前の問題であまり読む気が起きないという人もいるかも知れませんねー。
いっそのこと、そういう人は“これは大人向けの絵本だ”くらいの割り切りで読んでみると、結構面白い・楽しめるのでは無いでしょうか。……まぁ、絵本というにはちとブラックユーモアが過ぎるかも知れませんが(^^;


→ 合計:006冊(小説3冊 / 漫画2冊 / その他1冊)