ヘコんでても、一応書く

っつーか、昨日のウチに大体の文章は出来上がってたので(苦笑)今日も今日とて書評のコーナー。一応目標としては、派遣先・仕事先が決まるまで毎日やるというコトで(Myルール)。
というワケで本日の書評はコチラ、昨日に引き続き西尾維新氏で<戯言シリーズ>の二作目となる作品、「クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社ノベルス)クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社ノベルス)」です。

そーいえば最近、「戯言」って言葉を使う人が何気に増えてない?

えー……まず最初に断っておきます。
この本、昨日の「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)」以上に読む人を選びます。っつーか、嫌いな人・合わない人は、それこそ本を叩き付けたくなる程にダメかも。なので、一応ネタバレ的なものは書かないけど、以上の注意を踏まえた上で以下の文章は読んで下さい。


さて。イキナリですが、まずは最初に、この小説の問題点を列挙してみたり。

    • (作者や編集者の意見はさておき)講談社ノベルスのラインナップではあるが、ミステリ小説とは言い難い作品である。……まぁ、この編集部は、清涼院流水御大の前例(前科?)もあるけどね(苦笑)
    • 作中で提示された謎で、最後まで答えが隠されたままになっているものがある。……ネットで調べれば答えを考察してるファンサイトとかも見付かるけど、公式な・作中での答えが無いってどーよ。
    • これは個人的意見だけど、読後感は「最高に最低」ってカンジ。っつーか、後半のトリック解明からオチまでの展開は、読む人によっては鬱になる危険性もあるかもー。



……と、とりあえず思い付いた問題点を一気に列挙してみましたが。こーして改めて見てみると、いくら売り出し中の若手作家の一作だとしても、商業作品としては結構際どい作品だよなー、コレって。
それじゃあ、ここまで問題点を列挙するってコトは、私はこの作品が嫌いなのかっつーと……実は大好きだったりするんだよなー、これが(笑)。それも、西尾氏の作品の中で一・二を争う程に(^^;


では、こんなに問題点があるってのに、何故この作品が大好きなのか。答えは簡単、やはり西尾氏独特の表現・描写・戯言が満載な文章が非常に面白いからだったり。
正直、読む人によってはクドイと感じるよーな表現が使われてる箇所はかなり多いし、これはこのシリーズの特徴でもあるけど、主人公である“いーちゃん”の一人称で物語が進むため、彼のネガティヴかつ非生産的な思考が積み重なりすぎて、読むのがツライ箇所もあったりする(同シリーズの他の作品と比べても、この作品は結構多い気がする)んだけど……それでも読み手をグイグイ惹き付けるってのは、やはり西尾氏の文の巧みさなんだろーなー、とか思ってみたり。

あとは、キャラ立ての勝利って部分も大きいっすね。いーちゃんを始め、登場人物はみんな何処かズレている、しかしそのズレが“戯言”的な独特の描写に合っていて、西尾氏の独自の世界観を築いてるってカンジ。でも、そーいうキャラの面白さっていうのは、こーいうミステリのトリックそのものを売りにはしていない作品とか、あるいはライトノベル的な要素を持つ作品には必要不可欠だと思うんですよ、ハイ。
特に、この後の三作目・四作目以降に繋がるような設定(“殺し名”とか“人間失格”とか)が登場するのも、事実上この作品からなので、この<戯言シリーズ>の世界が好きな自分としては、そーいう意味でも印象深い一作だったりするかな。


しかしまぁ、ここまで色々と書いたクセにと言われるかも知れないけど、結構ぶっちゃけて言うと、今イチ自分でも、何故この作品が好きなのかってのは良く分かんねぇッス(笑)。でもまぁ、良くも悪くも、この<戯言シリーズ>の方向性を決めたのはこの作品だろうなと思える一冊かと。
発行は講談社ノベルスではあるものの、かなりの確率でミステリではなく、かと言ってサスペンスものとも違う本作品。前作もそうだったけど、冒頭にある、西尾氏独特の表現が詰め込まれた文章が好みだった人や、ライトノベル系の作品が好きな人で、ややブラックなオチも許容できる人にはかなりオススメってカンジっすねー。