間に合ったーっ!

何に間に合ったかと言えば、まぁ見出しを見て頂ければある程度は推測が付くかとは思うんですが。
先日から (一人で勝手に) 騒いでいた、はてなグループ「年間100冊読書クラブ」 のクラブ員としての活動ですが、どーにかこーにか、自分にとっての一年間の期限である今日までに、100冊読書と言う目標を達成することが出来ました。いやー、間に合って良かった良かった。
……ただまぁ、間に合ったとは言っても、途中で色々と 「一冊というかは (雑誌に掲載された作品も含めた) “一作”を読めばそれもカウントしてOK」 とか 「一気にまとめて紹介した方が書評とか感想とか書きやすいので、数冊まとめて紹介 & でもカウントは一冊ずつ(汗)」 といった反則技も結構多用していたので、微妙に怪しい部分もあったりはするんですけどね(汗)。でもなー、3月下旬〜4月上旬にかけての一時期何ざ、正味な話として、書評を書くとか云々以前に、そもそも本を読んだりする余裕すら無くなったりしてたしなー……(--;


まぁ何はともあれ、そんな愚痴は一先ずさておくとして、本日の書評ではコチラ、本の紹介としてはちょっと久方振りとなります、私の個人的にお気に入りなユニット クラフト・エヴィング商會 様の作品で、「どこかへいってしまったものたち」 を取り上げたいと思いまっす。どこかにいってしまったものたち

探しものは常に心の中にあるもの

明治〜戦後の時代に掛けて、商會として扱ったことはあるものの、既にその商品そのものは、売れるか戦争の混乱で紛失してしまった商品の数々。そんな品々の名残とも言うべき取扱説明書やチラシを集め、そこに、今は姿無きその商品への空想にも似た思いを交えた解説文を添えることで作り上げたこの本は、いわば“商品の代わりに夢を売る不在品目録”ともいうべき存在である……なんていうのが、この本の設定なんですが。
……はい、この本の著者の“クラフト・エヴィング商會”をご存知の方の中には、既にお気付きの方もいらっしゃいますね。以下、ある意味では例によって例の通りなんですが、実はこの本で扱われている品々というのは、以前にこの書評で取り上げた 「ないもの、あります」 と同様に、実際には最初から存在していない商品ばかりなんですよねー(苦笑)。
実際には在りもしない商品の形や性能を考え、そしてその(本当は存在しない)商品に相応しいパッケージや取扱説明書、あるいはチラシを実際に作り(!)、それを写真に撮って掲載させたのがこの本……と、何だか説明を書いているだけで頭が痛くなってきましたが。
まぁつまりは、実際にはありはしない、けれど、あったらイイなと思える商品を並べたのが、この写真集(?)なワケです。


で、まぁ普通であれば、こういった空想の商品の紹介と言うのは、確かに読んでそれなりには面白いとは思えるものの、たとえそれがどれだけ素晴らしい商品であろうとも、所詮は空想の域を出ないということで、読後にやや興醒めしたかのような徒労感や虚しさを覚えることが多いかとは思うんですが、それに対してこの本の場合、ここに並べられている商品というのが、どれも実にユニークな商品、もしくはユニーク過ぎる商品ばかりというコトで、そんな虚しさを覚える暇すら無いような、実に面白い商品紹介ばかりとなっておりまして。
一例を挙げれば、桃の食べ頃を調べることが出来る“水桃蜜調査猿”や、光ではなく闇を作り出すという懐中電灯“アストロ灯”、果ては、容器の瓶自体は残っているのだが、最早永遠に開けることが出来なくなってしまっている“瞬間永遠接着剤”などという商品まで。
どれもこれも、如何にも明治や大正といった、ややいかがわしげな商品が実在した時代に即した商品であるだけでなく、読んだ者に、“もしもこれが現代にあったらなぁ……”という思いを抱かせるような商品ばかりで、実際には存在しないのが分かったいても、ついついその商品の形やら使い道やらを思い浮かべたくなってくる一冊と言えるのではないでしょうか。
また、この本が凝っている点として、そこで描かれている商品の解説等が、如何にもといった感じの文章や文字・写植で書かれているだけでなく、その “再現” した商品のチラシやパッケージを撮影して載せるにあたって、特殊な薬品を使うなどして、そのパッケージ等に本当に歴史があるかのように見せかける細工まで加えている点が挙げられます。
やっぱりねー、解説文とかに凝るのもイイんですが、(嘘や冗談の商品ばかりとはいえ)折角時代のロマンを感じさせるような本なんですから、資料として載る写真にこういった細工が為されたりなんかしていると、それだけで雰囲気が盛り上がる・見ていてより一層楽しく思えてくるってものですよ(笑)。


えーと、何だかちと取り留めの無い話になってきてしまいましたが。とりあえず総括としては、こういった本を使わずとも、普段から白昼夢を見がちな方(汗)にはオススメし難いものがあったりもしますが、日々の生活の忙しさに追われ、想像や空想をする楽しみを忘れてしまった、あるいはその方法を思い出せなくなってしまっている方に是非ともオススメしたいこの一冊。
やや値段は張りますが、丁寧でセンスの良いブックデザイン・外見をしているので、相手が洒落の分かる方ならば、プレゼントなんかにも向いてる一冊なんじゃないでしょうか。あ、ただしこの時期にこの本を誰かに贈る場合は、くれぐれも相手の生活や性格に気を付けて下さいねー。じゃないと、ヘタをするとこの本の面白さ・世界観に飲み込まれ過ぎると、現実世界に帰って来れないという形での五月病になったりするかと思われますのでー(^^;


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