本日のタイトルが怪しげなのは

実はこの書評の為だったりして(汗)。
と、ゆーコトで。オカルトとかに詳しい人ならば、何に関する本の書評を書くつもりなのかピンと来た方もいるかも知れませんが、本日は書評として、先日より少しずつ読み進めていた、最近発行されたばかりのクトゥルフ神話の入門書、「図説 クトゥルフ神話」 を取り上げてみようと思いまっす。図解 クトゥルフ神話 (F‐Files No.002)
……途中、宇宙的な恐怖に飲み込まれちゃダメですよん(笑)。

汝知り過ぎるべからず、されど無知の死を迎えるべからず

人類誕生以前に外宇宙から飛来しこの地球を支配していたと言われる、大いなるクトゥルフらといった 「旧支配者 (グレート・オールド・ワン)」 たち。そして、そんな 「旧支配者」 たちをも超越し、魔王アザトースを筆頭に、異次元の彼方に君臨する高次元の存在である 「外なる神 (アウター・ゴッズ)」 たち。
我々の人知を超えた、恐ろしくかつ邪悪な “神々” である彼らについて語られる数々の物語たちこそが、今日 “クトゥルフ神話” と呼ばれる物語であり、そして、彼らについて語られる数々の作品を読む上で必要となるであろう知識を集め濃縮した書物こそが、この本なのである。


……などと、最初に一気に大風呂敷を広げてみましたが(汗)。
えーと、一応念の為にお断りを入れておきますと、このクトゥルフ神話というのは、実際には “本物の” 神話では無かったりします。しかし、このクトゥルフ神話の始祖である、小説家H・P・ラブクラフト氏を始め、複数の作家達が、このクトゥルフらといった邪悪な神々をモチーフとした作品をいくつも創作したことで、遂にはそれらが、単なる “作品” ではなく “(一連の) 神話” と呼ばれるようになった……というワケでして。


で、まぁそんなクトゥルフ神話そのものに関する説明は一旦さておきまして、本の紹介の方へと戻りますと。
既に前述した通り、この本は、そのクトゥルフ神話におけるそれぞれの神 (神と言っても邪神ばっかですけど/汗) やそれに付き従う存在、及び作品中に登場する地名や人名等に関して、図表を交えつつ、それらに関する説明が為されているという、いわばクトゥルフ神話という作品集に関する解説本となっているんですが。
いやー……ハッキリ言って、かなり良いカンジにまとまってますよ、この本ってば。これまでこのクトゥルフ神話というのは、ラブクラフト氏が最初にこのクトゥルフ神話に関する作品を世に出して以来、多数の作家がそれぞれの視点や考察を元に神を描く等してこの作品世界に関わってきた為、世界があまりにも広大かつ複雑過ぎて収集が付かない・初心者はなかなか手を出せないという状況になっていたかと思うのですが、この本は、事前の予備知識が無くとも十分にその世界観が理解出来る、非常に分かり易い形でこの神話の世界というのを紹介しておりまして。
また、これはAmazonに投稿されたカスタマーレビューにも書かれていたことなのですが、確かに個々の項目・内容の説明に関して、既にある程度の事前の知識を持っている方にとっては、ちと物足りない・もうちょっと深く踏み込んだ解説が欲しいとも思える部分も少なく無いんですが、それでも、そのサイズや厚さ的には、ただ単に初心者がこの作品に触れる折の入門書というだけではなく、数々の作品に対する最初の副読本としてもなかなかに良いのでは、と思えるカンジになっていると思えましたねー。


まぁ何はともあれ、自分も含めて(汗)、クトゥルフ神話というものに興味はあるものの、その世界観の広がりが大きすぎて手を付けるのに二の足を踏んでしまっていたという方、あるいは、「ネクロノミコン」 や 「ニャルラトテップ」 といった一つ一つの用語やその説明は聞いたことはあり、もうちょっと詳しい説明や他の用語との繋がりってヤツを知ってみたいとお思いの方。是非とも、この本を一読してみては如何でしょうか。
……ただ、ちと辛口なコトを言えば、全体的には初心者向けの解説書・入門書といったレベルの踏み込みに終始しているにも関わらず、時折この本に書かれている内容だけでは理解が難しいかと思われる箇所や、文章・文脈的に少々首を捻ってしまう箇所なんぞもあったりするんですが……まぁ、その辺はご愛嬌ってコトで(苦笑)。
もっとも、そういった些細な難点を抜きにしても、¥1,365 という、少し厚めの文庫2冊分程度の低価格でこれだけの説明が詰まった本を読めると思えばコストパフォーマンスはバッチリかと思われますし、クトゥルフ神話を学ぶ上でも、ヘタに小説を買い漁るよりは、この本を一読してある程度の事前知識を仕入れた上で小説を読み進めるってスタイルも個人的にはアリかと思いますよー。


→ 合計:075冊(小説32冊 / 漫画32冊 / その他11冊)