やはり万人向けだとは思わないけど

えー……。まぁもしかしたら、一昨日の更新の時に、「これは無闇に人に勧めるよーな作品じゃないやーね」 などと書いていたクセに、何故にそんな本を取り上げるか、とお叱りを受けてしまうかも知れませんが……まぁ、今日の日中に読み返してたらやっぱり自分的には結構楽しめた・面白く思えてしまったんだから仕方ないやん? ってコトで。
まぁ、そーゆーワケ(苦笑)で、本日の書評では、様々な銃器が登場し、それらを用いたガンアクション・戦闘描写の派手さが特徴的な深見真氏の作品、「ヤングガン・カルナバル」 とその続刊の 「ヤングガン・カルナバル -バウンド・トゥ・バイオレンス-」 を取り上げてみたいと思いまっす。


ヤングガン・カルナバル (トクマ・ノベルズ)ヤングガン・カルナバル バウンド・トゥ・バイオレンス (トクマ・ノベルズ)

一発の銃弾と、一人の人間の魂の比重や如何に

高校生にして若い殺し屋業 (ヤングガン) も営む男・木暮塵八と、同じく女子高校生でありながらヤングガンを務める鉄美弓華。彼ら二人は、“白猫” と呼ばれる女性が率いる組織 「ハイブリッド」 の中でもトップクラスのヤングガンであり、高校生としての生活を営む傍らで、これまで卒の無い仕事をこなしてきた。
だが、いつものように大したことの無かったはずの仕事に些細なケチが付いたことから、これまで特に面識の無かった二人は、それぞれ別の仕事をこなしていたはずが、いつの間にやら、二人揃って1つの巨大な陰謀へと関わっていくこととなり……。

……というのが、この作品の第1巻の設定・粗筋なんですが。
えーと、まぁこんなにスペースをとって説明しておいて何ですが、正直なところ、こんな話の粗筋と言うかストーリーについては、この作品においてはあまり重要なポイントでは無かったりします(汗)。や、勿論だからといってストーリーが面白く無いとか、そういうワケではないですけどね。
ただぶっちゃけたことを言ってしまうと、この作品の一番の魅力というのは、こうしたストーリー展開など以上に、一巻の帯での押井守氏の推薦文を借りるまでも無く、銃器によるガンアクションを初めとする戦闘シーン全般にこそありまして。


いやー、とにかく一言で言ってしまうのであれば、この作品の戦闘シーンというのはとにかく派手で! まぁ、時には狙撃や短時間での襲撃といった描写が簡素なシーンもありますが、クライマックスを初めとした盛り上がるべき場面では、毎回キッチリと迫力ある銃撃戦や肉弾戦の描写が丁寧に為されていておりまして。
この、血沸き肉踊るとでもいうべき戦闘シーンの描写については、ハリウッド系のダイナミックなアクション映画、あるいはB級作品などに多いド派手な銃撃戦・肉弾戦が盛り込まれた作品などが好きな人にとっては、正に垂涎とでもいうべき仕上がりになっていると言えるのではないでしょうか。


また、この銃撃戦の派手さに比べると、幾分は注目度が下がるというか、それほど多くの方は注目しないかも知れませんが、とにかく数多くの、多種多様な銃器 (拳銃やらSMGやら突撃銃やら……) が出て来るというのも、なかなかに珍しいポイントだと言えるのではないでしょうか。
っつーか、とにかく出て来る銃器というのが、どれもなかなかに珍しいというか、深見氏の拘りなのか、あまりメジャーじゃないような銃器が大半でしてねー(苦笑)。自分のような、中途半端な知識しか持ってない人間では、ネットとかで調べてみないと、その形状がサッパリ分からないようなものばかりで。
……もっとも、(その形状などが) 分からなかったとしても、銃撃戦の様子・描写そのものを楽しむ分には何の問題も無かったりするんですけどね(^^;


その他にも、この銃撃戦やら銃器やらに関する描写に比べると、独自性という意味ではやや見劣りする部分はあるかも知れませんが、主人公である塵八や弓華を初め、各キャラクターの性格が独特で分かりやすいキャラ立ちが出来てるというのも、結構評価が高いポイントかも知れませんねー。
……ただ、この同性愛者 (というかレズ) 率の高さについては、人によってはちと “引く” かも知れませんが(汗)。それでも、以前に深見氏が書いた 「アフリカン・ゲーム・カートリッジズ」 に比べれば随分とマシになってるとは思いますけどねー……。
まぁとにかく、ストーリーの展開やそれぞれのキャラクターの因縁・関係などについては、1巻と2巻 (-バウンド・トゥ・バイオレンス-) で色々と違いはあるものの、どちらもド派手なアクションが楽しめることは間違いないこの作品・シリーズ。
最近、すっかり血沸き肉踊るような作品を読んでいないという方、あるいは、迫力のある銃撃戦が巧みに描写された “小説” ってヤツを読んでみたいとお思いの方。そういった方には是非ともオススメ・一読してみるだけの価値はあると思いますよー。


→ 合計:061冊(小説29冊 / 漫画23冊 / その他9冊)