少々間が開きましたが

先日の「7巻全て読む & 書評を書く」の宣言通り、最近の通勤電車の中とかでちまちまと読んでいた、ナルニア国物語シリーズ。
……ところで、「武装錬金」の単行本レビューを連続で書いていた時にも思ったことなんですが、こういうシリーズものを1冊1冊バラにして書評を書くのって、結構難しいッスね(汗)。シリーズものってことは、設定とか作品のテーマとかがそれほど大きく変わることは無いワケで、そーなってくると、私のような書評の書き方では、2冊目以降の書評って意外と書くネタに詰まってきたりもするワケで(--;
まぁ、そんな愚痴ともボヤキとも判別が付かないような発言はさておき。前巻の「ライオンと魔女」から少々間が開いてしまいましたが、本日の書評では、このシリーズの第2巻にあたる作品、「カスピアン王子のつのぶえ」を取り上げてみたいと思います。カスピアン王子のつのぶえ―ナルニア国ものがたり〈2〉 (岩波少年文庫)

勇敢なる者、汝の名はリーピチープ也

毛皮のコートが並べられた衣装ダンスからナルニアへと赴き、アスランと共にナルニアの危機を救ったピーターたち4兄妹。あれから一年後、今度は駅のホームで不思議な力に導かれ、再びナルニアへと彼らが戻ってみると、向こうの世界では数百年もの歳月が経過しており、ナルニアは、テルマール人たちによって人間だけが支配する国へと姿を変えてしまっていた……。


……というのが、今回の物語の背景・基本設定なんですが。
前作同様、寓話的というか、人の良心の在り方みたいなものを示唆する場面が相変わらず少なからずあり、子ども向け作品と言えども(あるいは子ども向け作品だからこそ)色々と考えさせられる部分が多く、その辺は評価の分かれるところかも知れませんが、全体的なストーリーとしては、前作と同じくファンタジーの王道を行っており、ファンタジー作品が好きな人には是非ともオススメしたい仕上がりとなっています。


また、ピーターやルーシィといった4兄妹以外にも、テルマール人がナルニアを支配する時代において、一人昔の知性ある動植物たちが自由に暮らしていたナルニアを夢見て、そして最終的にはそれを現実のものとすべく、他の種族のものたちと力を合わせ戦いに挑むカスピアン王子など、新しく登場するキャラクターも魅力ある人物たちが多く含まれています。
しかし、この巻で一番の魅力的なキャラクターと言えば、何と言っても、ネズミの戦士・リーピチープでしょう。このリーピチープ、身体が小さいネズミであるにも関わらず、常に勇敢な心を持ち、そして騎士のような品位をも兼ね備えるなど、正にネズミにあるまじきネズミでして(^^; そして、実に格好良いんだよねー、その活躍ぶりが。
先に述べたカスピアン王子が、ただ昔のナルニアを夢見るだけの少年から王へと成長する様や、ピーターたち兄妹が互いを信頼しアスランとの絆を取り戻す過程など、前作とはまた違った種類のドキドキハラハラな展開も多く、繰り返しになりますが、ストーリー・キャラクター共に魅力的な作品となっています。


ファンタジーという、子どもから大人まで誰もが楽しめるジャンルの作品ということで、誰が読んでも楽しめ、尚且つ、誰が読んでもためになるテーマを持ったこの作品。「ライオンと魔女」を楽しめたなら、是非ともこの作品にもチャレンジして頂きたい、かなりオススメな良作です。
とにかく、前作をそこそこ以上に楽しめたという方は、騙されたと思って、リーピチープが出て来るシーンの拾い読みだけでもしてみてください。ネズミと言えども、50年以上前の作品と言えども、彼の格好良さは折り紙付きですよー(^^;


→ 合計:016冊(小説12冊 / 漫画2冊 / その他2冊)