目標達成のために

昨日から6月に突入ということで、ふと気になったので、「はてな年間100冊読書クラブ」に入部してから読んだ本の数(っつーか書評の数ですね、私の場合)を確かめてみたところ、合計で13冊、つまり、約2冊/1週間ペースであることが判明。
……年間100冊という目標からすれば、ペース的には丁度なんだけど、出来れば、次の年末(12/31) or 新年度(4/1)からは“第2シーズン”を始めたい私としては、ちと微妙なペースかも。
いや、ホントは読むだけなら、この書評の1.5〜2倍くらいの本(漫画も含む)は読んでるんですけどね。ただ、読んだ本の数“だけ”を競うのは私の本意では無いので、こんなのは私のワガママでしか無いんですが、書評みたいに感想の一つも述べなきゃ気が済まない、読んだと公言したく無いんですよねー(^^;
でも、このままのペースだと、少なくとも年末ゴールは厳しいよなー。もうちょっと、書評の文章量を減らすなどして、書評を書くスピードを上げようかしら。




……などと述べた舌も乾かぬうちに、以下、今日も今日とて、長文での書評のコーナーです(苦笑)。ダメだ、やっぱり私には短い書評は書けんっ!(^^;
けど、かと言ってこのままでは目標達成は難しいだろうし、次第に文章量を減らすなどして対策を講じてはみますが……どーなることやらねー(汗)。
まぁ、そんな戯言はさておき。本日取り上げる本はコチラ、特に新刊というワケではありませんが、私が好きな作家の一人、上遠野浩平氏の作品で、「しずるさんと偏屈な死者たち」でっす。しずるさんと偏屈な死者たち (富士見ミステリー文庫)

ロマンではなくロジックに満ちた死者たち

とりあえず、上遠野氏の文章も (最近の若手作家さんの講談社ノベルス作品に代表されるような) 最近のミステリも両方とも好きな自分としては、読んでいてなかなか楽しめました。ただ、読者が探偵と謎解きを競うような、いわゆるミステリらしいミステリを期待すると、かなり“こんなんミステリじゃねぇ!”的な読後感を持つのも事実かな(^^;


んー……。
何て言うか、読み切り作品・単発モノとして上遠野氏の作品に触れるには、他の作品との関連性・クロスオーバーが無い(あるとすれば、しずるさんが入院してる病院くらいかな)ので、なかなか良い入門書とも言えるかも知れないんですが……。
元々が季刊誌の雑誌の掲載作品ということで、他の書き下ろし作品に比べページ制限が厳しいのか、上遠野氏の作品の一番の魅力であろう、独特の哲学的(?)思考やらキャラ描写やらがほとんど省略・掻き消されてしまっており、そういう意味では、これ一冊では上遠野氏の作品の魅力は伝えきれないよなー……って思ってしまうのも事実だったり。
かと言ってミステリ的な部分が良く出来ているのかと言うと……うーん、これまた微妙なカンジで(汗)。上遠野氏なりの拘りがあるのか、ミステリの一番の肝であるトリックの部分が、ページが少ないのにかなりの変化球で攻めてくる作品ばかりなので、はっきり言って、読者が謎を推理するというのは不可能に思える作品ばかりなんですよねー……。


以上のことを踏まえて考えると、一応本の形としては、(富士見ミステリーということで、元々ミステリ向きと言うよりはラノベ向きのレーベルだけど)ミステリという形式を取っているものの、ミステリ読者というよりはラノベ読者、その中でも、他の上遠野氏の作品を読んだことのある読者向けの一冊……というのが、この本の評価になりますかねー。
逆に言えば、ブギーポップやらヒースロゥやらといった、他のシリーズのキャラクターこそ登場しないものの、上遠野氏作品好きで、長編よりは、肩の力を抜いて読める短編が読みたいと思う人にとっては、かなりオススメできる一冊と言えるでしょう。


あと、先日から「ナルニア国物語」シリーズを読み始めているので、自分の思考にその影響が残っているからかも知れませんが、この作品もナルニアと同様、どこか童話的な要素を持った作品のように感じました。
ブギーポップシリーズを初め、上遠野氏の作品はどれも“読者へのメッセージ”的な台詞等が結構明確に書かれている作品が多いように思うんだけど、短編集という形をとっている(= そのメッセージを各作品に込めれば、一冊の内に複数のメッセージが込められていることになる)からか、この本は特にその傾向が顕著に現れているように思えたので。
……まぁ、これは各話の間に挿入されているエピソード、「はりねずみチクタのぼうけん」のせいもあるかも知れないけど(苦笑)。
繰り返しになりますが、ミステリ作品や上遠野氏作品の入門書としては、正直イマイチではあるものの、既にファンの読者にとっては、他の作品とはやや毛色の違う短編が複数読めるということで、読んで損は無いと思える一冊……というのが、私の感想・評価っすね。


→ 合計:014冊(小説10冊 / 漫画2冊 / その他2冊)