騙すのに必要なのは頭脳で、要らないのは良心か

さてさて。誰も待ってないのに、またまた勝手にやってきたこのコーナー(苦笑)。
本当は、今日取り上げる本よりも前に読んだ・書評を書くべき本もあったりするんですが、今、どーしてもこの本についての書評を書きたい欲求が強かったりするので、その欲求に従って(笑)ちと順番を変えてお送りしたいと思います。
ちなみに、そのどーしても書評を書きたい本というのはコチラ、先日からの“鉤爪”シリーズと同じ作者、エリック・ガルシア氏の作品で、「マッチスティック・メンマッチスティック・メン (ヴィレッジブックス)」でっす。

OK、こいつはゲームなんだ、もっと楽しもうぜ

実は、何でこの本の書評を書きたがったかというと。……正直、あんまり面白く思えなかったんですよ、この作品が(--;
まぁ大体の理由は分かってて、それは恐らく、翻訳家さんの文章の違いによるものだと思うんですが。どーにもねー……文章が一人称と三人称という差もあるかとは思うんですが、それでも、“鉤爪”シリーズの軽妙洒脱な文章に比べると、何だかコチラの文章は“もったり”してる感があるよーな気がして(汗)。


とりあえずそんな愚痴はさておき、ストーリーとか本編についてですが、確か一昨年あたりに、リドリー・スコット監督 & ニコラス・ケイジ主演で映画化もされたはずなので、今更説明しなくても、という気もするんですが……まぁ、行数稼ぎの意味も含めて(苦笑)一応書いておこうかと思います。
潔癖症の中年詐欺師である主人公・ロイは、ふとした切っ掛けから、以前に分かれた妻との間に出来た娘と再会し、彼女にせがまれるがままに、自分の持つ詐欺の技術を彼女へと教え込んで行く。だがそんな彼女の姿を見ているうちに、次第に彼は、詐欺師としての自分の生き方に疑問を持ち始める……というのが、大雑把な粗筋でしょうか。
そして本編や文章そのものについては、翻訳文との相性から、個人的にはどーにも読みにくい・スムーズに読み進めにくい箇所はいくつかありましたが、それでも、台詞回しやストーリー展開の妙は、やはりエリック・ガルシア氏ならではってカンジでしたねー。
……まぁ正直なところ、“鉤爪”シリーズを読んで彼の作品の癖に慣れたからか、はたまた、映画化されたときのキャッチフレーズ、“騙す者が騙される(だったっけ?)”が頭に残っていたからか、最後のオチについては、その直前の緊迫のシーンがある程度まで進んだところで、オチというかネタが見えてしまったりもしましたが(^^;
それでも、かなりのどんでん返しを自然なストーリー展開で決めてくれるあたりは、流石は“鉤爪”シリーズの作者ってカンジでした。とりあえず、タイトルに隠されたとある不自然さ(っていう程でも無いかな?)については、ラストで要チェックっすよー。


“鉤爪”シリーズとは翻訳家が異なるということで、個人的にはあまりスムーズに読み進められなったという負い目もあり、ちょっとばかり人に無条件でオススメするのは難しいこの作品。
とはいっても、この翻訳文が読みにくかったというのは、私個人の私的な文章の好みによるものだろうから、多分普段から海外の作品に親しんでいる方にとっては、前作・前々作とは異なるこういった真っ当な翻訳文の方が読みやすいかも知れませんねー。
……何しろ、私はあの「ハリー・ポッター」シリーズを知り合いに勧められたとき、2〜3ページばかり読んだところで、“文章(翻訳文)が中学校の英語の教科書に出て来るような不自然な和訳文に思えてしまい、どーしても読めない”と突き返して怒られた経験のある人間ですから(苦笑)。
まぁ、ストーリーの面白さそのものは結構良い感じなので、興味を持たれた方は、この翻訳文が自分にとって読みやすいか否かを判断するという意味で、まずはパラパラと立ち読みして判断してみると良いのではないでしょうか。
……ところで、前作の「鉤爪プレイバック」でも少し感じたんですが、作者のガルシア氏って、意外と精神科医とか好きなのかしら。今作に出て来る精神科医も、どーにもイイ性格してるわー(^^;


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